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トヨタ「超コスト削減」で系列部品メーカーのM&Aにアクセルか

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中小部品メーカーのM&A支援が急務

日本自動車部品工業会によると、2020年3月期の時点で上場自動車部品メーカーの営業利益は、日本基準適用の60社合計で前期比21.7%減の5622億円、国際会計基準適用の13社合計で15.5%減の6290億円と厳しい状況だ。コロナ禍の影響が長引けば、2021年3月期の業績は一層落ち込むことになる。

ましてや非上場部品メーカーや2次以下の下請け部品メーカーとなると、経営規模が小さいために受注減とコスト削減に耐えられない危険性がある。帝国データバンクが3月1日に発表した資料によると、トヨタグループ(主要子会社を含む計16社)と直接取引する1次下請企業が6091社なのに対し、1次下請を通じて取引する2次以下の下請企業が3万2572社と大半を占める。

自動車は3万点を超える部品で構成されており、1つでも欠けると完成品にならない可能性もある。それだけにトヨタにとっては2次以下の下請企業といえども、1社として「消えてもらっていい企業」は存在しない。コロナ禍による受注減とコスト削減に対応できない中小部品メーカーの救済は喫緊の課題だ。

大手自動車メーカーで組織する日本自動車工業会は6月23日、コロナ禍で受注が減った中小部品メーカーの資金繰りを支援するために、自工会が融資保証して迅速に運転資金を確保できる保証総額20億円の「助け合いプログラム」を創設した。が、あくまで融資であり、一時的な「対症療法」にすぎない。これからも続くコスト削減に対応するには、中小部品メーカーでも再編を進めて「基礎体力」を強化する必要がある。

1次下請の大手部品メーカーならば自力でのM&Aも可能だが、2次以下の中小部品メーカーでは組織力や資金力の問題で容易に手が出せない。会社の売り買いに心理的な抵抗感がある経営者も少なくなく、手遅れで倒産や廃業を余儀なくされるケースもある。自工会や日本自動車部品工業会は、中小部品メーカーの再編や事業承継といったM&Aを加速する支援制度を早期に構築する必要がありそうだ。

文:M&A Online編集部

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