2019年7月21日に実施される第25回参議院議員通常選挙に向け、企業に動きが出てきた。
いずれも投票率を上げるための取り組みで、投票済証明書の提示で、商品やサービスの割り引きを行う「選挙割」や商業施設内での投票所の開設、さらには従業員に投票を促すため休業する店舗もある。
ラーメン店一風堂を展開する力の源ホールディングス<3561>は、国内の一風堂93店舗で、参院選の投票済証明書を提示すれば替玉一玉、もしくは半熟塩玉子一個を無料でサービスする選挙割を実施する。
期間は7月21日から7月31日まで、期間内であれば何度でも利用できる。
選挙割は2016年7月の第24回参院選、2017年10月の第48回衆院選に続く3度目の実施で「投票率の向上や若者の積極的な社会参加を願う活動の一環」としている。
温泉道場(埼玉県ときがわ町)は、運営する六つの温泉施設で、参院選の投票済証明書を提示すれば入館料を割り引く「選挙割」キャンペーンを2019年7月14日から7月27日まで実施する。
例えば、昭和レトロな温泉銭湯玉川温泉(埼玉県ときがわ町)では大人入館料土日祝880円、平日830円を440円に、おふろcafé utatane(さいたま市北区)では大人フリータイム入館料土日祝1380円、平日1260円を690円に割り引く。
こうした選挙割に取り組む企業は増えつつあり、飲食店をはじめさまざまな業界に広がれば、投票率の向上に効果が期待できそうだ。
従業員に投票を促すために休業する企業もある。アウトドア企業のパタゴニア日本支社(横浜市)は、投票日の7月21日に直営店22店全店を閉店する。
「Vote Our Planet 私たちの地球のために投票しよう」キャンペーンとして実施するもので、家族や友人、大切な人たちと語り合い、投票に行ってほしいという。
パタゴニアは米国カリフォルニア州に本社を置く企業で、「私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む」をミッションとして掲げており、地球を守るために投票することが大切としている。
営業中の店舗に投票所を設置する企業もある。イオン<8267>が運営するイオンモール、イオンタウン、総合スーパー・イオンなど全国103の商業施設に期日前投票所や当日投票所が登場する。
各選挙管理委員会がこれら施設内に投票所を設置するもので、期日前投票所96カ所、当日投票所3カ所、期日前投票所・当日投票所4カ所が設けられる。
イオンは2007年の秋田県議会議員選挙での投票所設置協力を皮切りに、国政選挙や地方選挙の際に、商業施設内に投票所の設置スペースを提供してきた。買い物に訪れた店舗で投票できるため、投票率の向上効果はありそうだ。
2016年7月に実施された前回の参院選の投票率は54%ほど。こうした企業の協力によって今回は54%を上回ることができるだろうか。
文:M&A 0nline編集部