経済産業省は2019年7月4日、韓国に対して半導体製造などに使われる化学製品3品目の輸出規制に踏み切った。公式には「日韓間の信頼関係が著しく損なわれた」ことを理由としている。「大韓民国に関連する輸出管理をめぐり不適切な事案が発生した」ことも理由の一つとして挙げているが、具体的にどのようなことがあったのかは明らかにしていない。そのため今回の措置は韓国の最高裁判所に当たる大法院の強制徴用判決への報復措置とみられている。

意外と知られていないが重要な3品目

さて、この化学製品3品目は「フッ化ポリイミド」「レジスト」「フッ化水素」だが、意外と知られていない。一体、どんな物質なのか?

フッ化ポリイミドの元となるポリイミドは一般に「ポリマー」と呼ばれる高分子物質の一つだが、他の高分子物質と比べて格段の高強度、耐熱性を持つのが特徴。電気絶縁性にも優れ、電子回路の絶縁材料としても広く用いられている。このポリイミドをフッ素と結合させた物質がフッ化ポリイミドだ。

従来のポリイミドに比べると光透過性が高い、色調をコントロールする蛍光特性に優れる、熱伝導性が高いため接着した発熱・放熱部品からの熱を効率よく逃がすなどの特性から、韓国勢が強い有機ELディスプレーの材料に利用されている。日本企業のシェアは約90%。国内生産メーカーはカネカ<4118>、ダイキン工業<6367>など。

レジストは露光工程で用いられる感光材のこと。半導体は分かりやすく言えばフィルム写真のような加工で量産する。露光に極端紫外線(EUV)や電子線(EB)のような極めて短い波長の光源を使うことで、微細な回路を生産できる。日本企業のシェアは約90%だが、ナノ(10億分の1)メートル単位の線で回路を形成できるEUVで使えるレジストは日本製のみだ。国内生産メーカーはJSR<4185>、東京応化工業<4186>など。

フッ化水素はレジストで覆われた以外の部分を腐食させることで、回路を浮かび上がらせるエッチング(食刻)ガスだ。日本企業シェアは約70%で、3品目の中では日本以外から調達できる可能性が最も高い製品といわれている。国内生産メーカーは昭和電工<4004>、森田化学工業、ステラケミファ<4109>など。

文:M&A online編集部