UACJと日本軽金属ホールディングス(HD)は31日、子会社を通じて手がける両社のアルミ箔事業について2023年4月1日に経営統合したうえで、統合新会社の株式の大半を官民出資ファンドの産業革新投資機構(JIC、東京都港区)に譲渡することで合意したと発表した。JICは統合新会社の株式80%を取得し、残る20%をUACJが保有する。JICの傘下で設備増強などを進め、単独では困難だったグローバルで競争力のあるアルミ箔メーカーとしての地位の確立を目指す。譲渡価額は未確定。
統合するのはUACJが全額出資するUACJ製箔(東京都千代田区)と、日本軽金属HDが同じく全額出資する東洋アルミニウム(大阪市)。東洋アルミを存続会社として、UACJ製箔を吸収合併する形とする。統合新会社の社長には東洋アルミ社長の楠本薫氏が就く予定。
統合新会社の株式80%はJICの系列企業であるJICキャピタル(東京都港区)が取得する。UACJは20%を保有し、統合新会社を持ち分法適用関連会社として引き続き経営に関与する。一方、日本軽金属HDは東洋アルミ株の46%をJIC側に譲渡し、残る54%の株式は東洋アルミが自己株取得する運びで、統合新会社への出資は行わない。
国内のアルミ箔市場は中国を中心とする輸入品との厳しい競争にさらされている。その一方で、電気自動車(EV)シフトの流れを受け、リチウムイオン電池用箔の需要が世界的に急増し、新鋭設備導入・増強などに巨額の成長投資が必要になっている。こうした中、両社は単独では事業成長に限界があると判断し、統合に動くことになった。
追記事項
2023/02/27
4月1日としていた経営統合の予定日を「未定」に変更すると発表。独占禁止法に基づく手続きがなどに時間を要しているためとしている。