ジョンソンエンドジョンソンがバイオ企業アクテリオンに買収打診

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※画像はイメージです

J&Jが活発に買収行動

ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)がスイスのバイオ企業アクテリオンに買収を打診しました。この買収により医薬品の充実を図るのでしょうか。
J&Jは2016年9月には同業のアボット・ラボラトリーズから眼科関連の企業を買収することで合意しています。

J&Jがバイオ企業買収か

11月25日、ブルームバーグが伝えたところによると、アメリカの総合ヘルスケア企業のJ&Jが医薬品のラインアップ拡大を目指し、スイスのバイオ企業アクテリオンに買収の可能性を打診したと、事情に詳しい複数の関係者が明らかにしました。

J&Jの買収打診後、その検討はまだ初期段階にとどまっているとして、アクテリオンは選択肢の模索でアドバイザーと協力しており、話し合いが取引につながらない可能性もあるということです。

欧州でバイオ企業大手のアクテリオンは買収標的になる可能性が指摘されていたようですが、ジーンポール・クロゼールCEOは独立を維持する方針を示していました。

しかし一方で十分なプレミアムを付けた価格なら売却検討に前向きになっているということも伝わっています。
24日のアクテリオン株は前日比1.9%高の158スイス・フランで終了。時価総額は約170億ドル(日本円でおよそ1兆9280億円)に達しているようです。
出典:米J&J、スイス製薬アクテリオンに買収打診-関係者 - Bloomberg

身売りに消極的な報道

11月29日、アクテリオンが身売りには消極的であることがフィナンシャル・タイムズ紙から伝えられ、同社株価は8%ほど下落しました。
ただ、アクテリオン側は独立を維持しながらも、J&Jから出資を受け入れる「複雑な取引」を協議していると伝わりました。
この件に関して両社からコメントは得られていません。

J&Jが買収額引き上げ(12月1日追記)

J&Jが買収額を引き上げたと伝わりました。
ブルームバーグによると、J&Jは総額260億ドル(日本円でおよそ2兆9400億円)、1株246スイス・フラン(日本円でおよそ27000円)で買収を提案しましたが、アクテリオンは低すぎるとしてこれを拒否したようです。協議は非公開ですが、J&Jは条件を大幅に引き上げたと伝わっていますが、新たな提示額は確認されていません。

アクテリオン

アクテリオンは1997年にスイスで設立したバイオ企業です。グループは世界25カ国に拠点を持ち、日本でも2001年に日本法人が設立されました。
アクテリオンの主な製品は、世界50カ国以上で発売されている肺動脈性肺高血圧症の治療薬『トラクリア』や、グルコセレブロシダーゼという酵素の不足や欠損により、肝臓や脾臓に疾患がおきる難病のゴーシェ病Ⅰ型の治療薬、グリコシルセラミド合成阻害薬『Zavesca(製品名)』などとなっています。

9月にはAMOも買収

J&Jは2016年9月に、同業のアボット・ラボラトリーズから眼科関連を手がけるアボット・メディカル・オプティクス(AMO)の買収合意が発表されました。買収額は43億2500万ドル(日本円で4400億円以上)。
AMOはレーシック手術や白内障手術に使う装置や用具を扱い、コンタクトレンズ用薬剤も発売しています。
J&JはAMOを買収したことで自社のコンタクトレンズなどの眼科事業の強化に繋げる狙いがあるようです。

医薬品の充実

J&Jは関節リウマチ治療薬のレミケードの売上げが好調で、2016年の第3四半期決算では医薬品部門の売上高全体の21%を占めたとされています。また、乾癬(かんせん)治療薬のステラーラなどの新薬も好調です。
しかし安心してはいられずレミケードは今後、製薬大手のファイザーなどによるバイオシミラー(バイオ後続品)との競争になると予想されています。
買収が実現するかは現段階ではわかりませんが、J&Jはバイオ企業の大手アクテリオンを買収することで新たな医薬品の充実を図ろうとしています。

本記事は、「MoneY wave」より転載しております。

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