書店チェーンを展開する文教堂グループホールディングス(GHD)が上場廃止の猶予期間である8月末を間もなく迎える。

銀行団による債務の株式化や取次最大手の日販グループホールディングスの出資を得て債務超過を解消し、上場廃止の危機をひとまず乗り越えたものの、いぜん窮地が続いている。出版不況に新型コロナウイルス感染拡大が重なり、再建途上の同社にとって経営の先行きは視界不良のままだ。

債務の株式化と増資で債務超過を解消

文教堂GHDは昨年9月から、事業再生ADR(裁判外紛争処理解決手続き)に基づき再生計画を策定。この大前提が債務超過の解消だ。

同社は2018年8月期に約2億3000万円の債務超過(純資産のマイナス)に転落した。本来であれば、翌19年8月期までに債務超過を解消できないと上場廃止となるが、再生計画案の成立を受け、20年8月期末まで猶予期間が1年延長となっていた。

みずほ銀行、三井住友銀行、横浜銀行など6行が41億円超に上る債務の株式化に応じるとともに、日販GHDが5億円を出資。これにより、約20店舗閉鎖など一連のリストラに伴う赤字拡大で2019年8月期末に42億円まで膨らんでいた債務超過を一気に解消した。直近の純資産は7億7400万円とプラス圏に回復している。

また、借入金残高もおよそ60億円まで約4割減り、金利減免などの支援措置も2025年8月末まで継続することから、財務負担が相当程度軽減する。

新型コロナが出鼻をくじく格好

問題は本業を取り巻く環境だ。足元では新型コロナ感染拡大が再生計画の出鼻をくじく格好になっている。

再生計画の初年度にあたる2020年8月期予想は売上高14.8%減の207億円、営業利益9300万円(前期は4億2000万円の赤字)、最終利益1億1300万円(同39億8000万円の赤字)。売上高は5年連続減収ながら、3年ぶりに黒字転換を見込むが、実はいずれも昨秋の期初予想を据えたまま。新型コロナの影響を読み切れないのが理由だが、臨時休業や営業時間短縮などが響き、下振れする可能性が高い。

店舗数は現在101店舗。今期は不採算の24店舗を閉鎖し、九州地区での出店もゼロとなった。店舗閉鎖は計画の線だったとはいえ、新型コロナが加わり、出版物の販売がさらに落ち込んだとみられるだけに、黒字確保は容易でないはずだ。

紙媒体の書籍・雑誌の市場規模はピークだった1996年の2兆6000億円から、2019年に1兆2360億円と半減以下まで落ち込んでいる(全国出版協会・出版科学研究所の推計)。出版不況に歯止めがかからない中、創業家出身の前社長時代の経営混乱によって業績悪化をエスカレートさせたのが文教堂GHDだ。

上場書店の“とりで”をどう守るか?

再生計画は明らかに縮小均衡を目指す内容。来期も引き続き不採算店舗の閉鎖を進める。黒字確保を図りながら、売上高は2025年に8月期に160億円程度と最盛期の3分の1以下に身を縮め、利益重視の経営体質を志向する姿勢を鮮明にしている。

文教堂GHDは三洋堂ホールディングス、トップカルチャーなどと並び、数少ない上場書店の一つ。このうち丸善ジュンク堂書店などを傘下に置く丸善CHIホールディングスは書店のウエートが半分程度に過ぎず、ブックオフコーポレーションは中古本が主力だ。上場書店としての“とりで”をどう守っていくのか、生き残りの本番はこれからだ。

文:M&A Online編集部