オリンパス<7733>が苦境脱出のため、M&Aや資産売却を積極化させている。 

2020年6月にデジタルカメラなどの映像事業の売却を発表したのに続き、8月に入って米国の治療機器の製造拠点であるノーウォーク工場(オハイオ州)の売却と、英国医療機器メーカーArc Medical Design(リーズ)の買収を相次いで決めた。 

同社が8月5日に発表した2021年3月期第1四半期決算では20億円を超える最終赤字に陥っており、2021年3月期通期については見通しが立たず、第1四半期を終えた時点でも業績予想は未定のままだ。 

新型コロナウイルスの影響で販促活動に支障が生じているのが業績悪化の要因だが、この苦境をこれら施策で乗り切ることはできるのだろうか。 

腫瘍検出率アップの英国企業を買収 

オリンパスは8月6日に、米国の治療機器の製造拠点であるOlympus Surgical Technologies America(マサチューセッツ州)のノーウォーク工場を、NISSHA<7915>の100%子会社Nissha Medical Technologies(ニューヨーク州、NMT)に売却し、2020年12月末まで引き渡すことを決めた。 

同工場で生産している泌尿器、婦人科向けデバイスや治療機器などは、NMTに生産委託し、同工場の従業員111人(2020年4月時点)もNMTが雇用するという。 

さらにオリンパスは8月7日に、オランダの製薬会社 Norgine BV(アムステルダム)の子会社である英国の医療機器メーカーArc Medical Designの全株式を取得することを決めた。 

Arc Medical Designは、大腸内視鏡の先端に取り付ける円周上にフレキシブルアームを備えた機器を生産しており、同機器を用いることで、腫瘍検出率を高めることができる。 

オリンパスはこれまで欧米市場で同機器の独占販売権を持っていたが、子会社化に伴い同機器の設計、製造、販売、事業戦略に関与し、事業規模を拡大していく計画だ。 

これら売買に先立って同社では映像事業の売却を決定しており、2020 年9月30日までに投資ファンドの日本産業パートナーズ(東京都千代田区)と正式契約を結び、年内の取引完了を目指している。 

映像事業は80年以上の歴史を持つ、かつての主力事業だったが、過去13年間に黒字だったのは3年だけで、赤字体質が定着していたため、売却に踏み切った。これら3件の売買金額については、いずれも明らかにしていない。

最終赤字は27億円3600万円に 

オリンパスの2021年3月期第1四半期は、売上高1424億300万円(前年同期比21.7%減)、営業利益11億9000万円(同91.9%減)、税引き前利益2億900万円(同98.5%減)、最終赤字27億3600万円だった。新型コロナウイルスの影響で、全事業が減収になったことなどから大幅な減益を余儀なくされた。 

赤字事業の切り離し、工場売却と生産委託、成長事業の買収と矢継ぎ早に放ったこれら施策が業績にどのような影響を与えるのか。今のところ先行きの見通しについては内視鏡のようには、くっきりとは見えていないようだ。

文:M&A Online編集部