新型コロナウイルス向け「国産ワクチン」 大量生産に新たな助っ人

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カネカユーロジェンテックのプラスミドDNAの製造設備(カネカのニュースリリースより)

バイオベンチャーのアンジェス<4563>と大阪大学が共同で進めている新型コロナウイルス向けのワクチン開発に、ベルギーのバイオ企業であるKaneka Eurogentec(カネカユーロジェンテック、リエージュ州)が参画することになった。 

カネカユーロジェンテックはワクチン製造を担当するタカラバイオ<4974>の協力体制に加わり、ワクチンの中間体の製造を担うという。 

すでにAGC<5201>の米国子会社AGC Biologics(ワシントン州)と、塩野義製薬<4507>の子会社シオノギファーマ(大阪府摂津市)の2社が中間体の分担製造でワクチン開発に参画しており、ここにカネカユーロジェンテックが加わることで、ワクチンの大量生産に向けた体制が一段と増強されることになる。 

カネカユーロジェンテックとはどのような企業なのか。 

PCR検査試薬を提供中 

カネカユーロジェンテックは1985年に、ベルギーのリエージュ大学から生まれた企業。これまで医薬、診断薬、研究試薬向けのたんぱく質や核酸などを世界中の研究者に供給してきた。2010年に化学会社のカネカ<4118>と資本提携し、現在はカネカの連結対象子会社となっている。 

2020年4月にはベルギー政府の要請に応えて、新型コロナウイルス検査に使用されるPCR検査試薬の生産を増強、同試薬をベルギーや近隣国の病院、検査機関、研究機関などに提供している。 

アンジェスが開発を進めているワクチンは、プラスミドと呼ばれる環状のDNAを用いる。カネカユーロジェンテックは2015年にプラスミドDNAの量産化に成功し、欧米での臨床試験に使用されるグレードに対応できる水準にある。 

カネカユーロジェンテックは今回のプラスミド DNAのほかにもmRNAに関する技術も保有しており、製薬企業やバイオベンチャーが開発を加速している新型コロナウイルスワクチン向けmRNAやプラスミドDNAの受託製造を強化するという。 

アンジェスは7月22日に開発中のDNAワクチンについて、大阪市立大学医学部附属病院で第1相、第2相の臨床試験での低用量の接種が完了し、その後、高用量での接種を行っていることを公表しており、試験結果については2020年秋ごろに公表するとしている。 

アンジェスの新型コロナウイルスワクチン開発には、細胞内に薬剤を送達する新規投与デバイス技術を持つダイセル<4202>や、ワクチンの安全性などの検証技術を持つ新日本科学<2395>などの企業も参画している。

文:M&A Online編集部

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