オーナー企業と好相性、ソフトバンク・日本電産など有力か 

 ところで「米国の国益を最優先」する姿勢を示すトランプ氏にとって、他国の企業が自国の資産や企業を買収することについてどう思うのかが気になるところだ。

 トランプ氏は著書「トランプ自伝」で、自身が建てたトランプ・タワーのアパート販売時に買い手として現れた外国人について以下のように語っている。

 もう一つの新しい買手グループは日本人だ。日本人が自国の経済をあれだけ成長させたことは尊敬に値するが、個人的には、彼らは非常に商売のやりにくい相手だ。まず第一に、六人、八人、多い時は十二人ものグループでやってくる。話をまとめるためには全員を説得しなければならない。二、三人ならともかく、十二人全員を納得させるのは至難のわざだ。その上、日本人はめったに笑顔を見せないし、まじめ一点張りなので取引をしていても楽しくない。幸い、金はたくさん持っているし、不動産にも興味があるようだ。

 トランプ氏は日本人がお金を持っていることに対しては一目を置きつつも、商売ではやりにくい相手と感じているようだ。サラリーマン社長が経営する一般的な日本の大企業よりは、創業者が健在なオーナー企業の方がトランプ氏と気が合うかもしれない。

 それでは今後、米国で買収に動きそうな企業はどこか。過去に米国で比較的大きなM&Aを実施した企業(計画中も含む)をピックアップしてみた。

ソフトバンクグループ 2013年7月 米携帯電話会社スプリント・ネクステルを216億ドル(約1.8兆円)で買収
日本電産 2016年8月 米エマソン・エレクトリックのモータ・ドライブ事業および発電機事業を12億ドルで取得すると発表
ダイキン工業2012年 米国の住宅用空調メーカー、グッドマンを総額37億ドル(2960億円)で買収

2016年4月 米国のエアフィルターメーカー、フランダース社を4億3000万ドル(507億円)で買収

セブン&アイ ホールディングス2016年5月 米国のガソリンスタンド・コンビニチェーンから79店舗を取得
日本ペイントホールディングス2016年12月 米国の建築料塗料大手、ダン・エドワーズを2017年3月をめどに買収すると発表

 なかでもソフトバンクグループ<9984>の孫正義社長は昨年12月、ニューヨークのトランプ・タワーでトランプ氏と会談。米国に総額500億ドル(約5兆円)を投資し、5万人の雇用を生み出すと表明したと報じられた。トランプ氏は米国の雇用創出につながるような投資計画には歓迎する意向を見せている。ちなみに孫社長とセブン&アイ ホールディングス<3382>の井坂隆一社長は1957年の酉年生まれの経営者でもあり、二重の意味で注目される。

 ただ「ジャパンマネー」が相次いで米国の名門企業や優良資産の買収に動くと、トランプ氏が保護主義に傾くリスクもある。米国にとって友好的な買収かどうかという政治的意義を強調できるかどうかも買収の成否を左右しそう。日本企業トップの「トランプ詣で」も増えるかもしれない。

まとめ:M&A Online編集部