2015年に希望・早期退職者の募集実施を公表した上場企業数は、前年と同数の32社だった。アベノミクス効果で、輸出企業を中心に上場企業の業績が改善し、人員削減に動いた企業は調査を開始した2000年以降で2年連続で最少になった。
※本調査は、2015年1月以降、希望・早期退職者募集の実施を情報開示、具体的な内容を確認できた上場企業を抽出した。希望・早期退職者の募集予定を発表したものの実施に至らない企業、および上場企業の子会社(未上場)は対象から除いた。資料は、原則として『会社情報に関する適時開示資料』(2016年1月8日公表分まで)に基づく。
2015年に希望・早期退職者募集の実施を公表した主な上場企業は32社(前年32社)だった。調査開始の2000年以降では2年連続で最少にとどまった。また、募集人数は8,843人(前年8,852人)で、調査開始以来初めて2年連続で1万人を下回った。
募集または応募人数の最多は、シャープ(グループ会社を含む)の募集3,500人。次いで、横河電機(グループ会社を含む)の応募1,105人、サニックスの募集900人(2回募集)と続く。募集または応募人数が100人以上は17社(前年10社)で、前年の1.7倍に増加した。
業種別の最多は、シャープ、ソニーなど電気機器の6社。次いで、日本マクドナルドホールディングスなどの小売業の4社と続く。このほか、ゲームやスマホアプリ開発などのgumiは、2014年12月に上場を果たしたが、赤字の業績下方修正で2015年3月末から早々に希望退職募集を実施した。上場企業の人員削減の動きは落ち着きをみせているが、製薬大手の田辺三菱製薬が国内市場の縮小を見越して、成長が期待できる海外に投資を振り向ける体制を整えるために早期退職者を募集したり、今後も将来のビジネス展開を見据えて人員削減に踏み切る企業が出てくる可能性が高い。また、不正会計問題を機に事業運営体制の見直しを進める東芝が、早期退職や配置転換などの構造改革策を発表するなど、2016年の上場企業の動向が注目される。