2年ぶりの増加で44件、トップはZOZO 2019年のTOB

※この記事は公開から1年以上経っています。
alt

2020年は大型TOBが目白押し

2019年に発表されたものの、まだ募集が始まっていないTOBでは大型案件が目白押しだ。12月18日に開示された、昭和電工<4004>がエレクトロニクス関連の機能材料などを手がける日立化成<4217>を子会社化するTOBの予想買付総額は9640億円。日本企業がかかわるM&A全体でみても、豪ビール大手を約1兆2000億円で買収することを決めたアサヒグループホールディングス<2502>に次ぐ、今年2番目の規模。

日立化成株の51.24%を保有する日立製作所はグループ戦略の見直しで子会社を整理しており、同TOBにも応募する。買付価格は1株につき4630円。TOB公表前日の終値4080円に13.48%のプレミアムを加えた。買い付け開始は2020年2月の予定だ。

11月18日に開示されたZホールディングス(旧ヤフー)とLINE<3938>TOBによる経営統合の予想買付総額は3720億円。LINEの親会社である韓国のNAVER(保有割合72.6%)とZホールディングスの親会社であるソフトバンク<9434>(保有割合44.6%)が、LINEの非公開化を目的にTOBを実施し、LINEの全株式をソフトバンクとNAVERの両社が保有する。

LINE株の買付価格は12月23日に1株あたり5380円と発表された。買付価格発表日の終値5260円に2.28%のプレミアムを加える。2020年5月から6月にかけて買い付けを始める予定で、TOBが成立すればLINEは上場廃止となる見通しだ。

ユニゾHDのTOB決着は年越し

来年も混迷しそうなのは、12月22日に開示されたユニゾホールディングスの従業員による買収(EBO=エンプロイー・バイアウト)だ。ユニゾの非公開化が狙いで、従業員と米投資ファンドのローン・スターが出資する新会社がユニゾに対してTOB実施して全株式の取得を目指す。日本の上場企業でEBOを実施されるのは、今回が初めてという。

ユニゾをめぐっては旅行大手エイチ・アイ・エスが敵対的買収を目的に1株あたり3100円でTOBを仕掛けたのに対抗し、ソフトバンクグループ<9984>傘下の米投資会社フォートレス・インベストメント・グループが8月に同4000円でホワイトナイトとしてTOBに参入した。

エイチ・アイ・エスはTOBから撤退したものの、米投資会社のブラックストーンがユニゾに同5000円での買収を持ちかけて事態は混迷。ユニゾはフォートレスにTOB価格を同5000円以上に引き上げるよう求めたが、100円アップの同4100円に留まり事態は膠着(こうちゃく)。フォートレスのTOBは9度目の延長を経て、2020年1月8日まで実施される。8月19日のTOB開始以来、買い付け期間は93営業日と異例の長さになった。

EBOによる買付価格はフォートレスを1000円上回る同5100円で、買付代金は最大1745億円。買付期間は2020年2月4日まで。これに対抗したフォートレスによる買付価格の引き上げやブラックストーンのTOB参入があるのか注目される。

文:M&A Online編集部

M&A Online編集部

M&Aをもっと身近に。

これが、M&A(企業の合併・買収)とM&Aにまつわる身近な情報をM&Aの専門家だけでなく、広く一般の方々にも提供するメディア、M&A Onlineのメッセージです。私たちに大切なことは、M&Aに対する正しい知識と判断基準を持つことだと考えています。M&A Onlineは、広くM&Aの情報を収集・発信しながら、日本の産業がM&Aによって力強さを増していく姿を、読者の皆様と一緒にしっかりと見届けていきたいと考えています。


NEXT STORY

「デュアルクラス」であればユニゾは狙われなかった|間違いだらけのコーポレートガバナンス(7)

「デュアルクラス」であればユニゾは狙われなかった|間違いだらけのコーポレートガバナンス(7)

2019-12-10

​1株に多数の議決権を付与する​「デュアルクラス」は、アメリカ西海岸、シリコンバレー流の反逆精神、カウンターカルチャー精神の表れであり、オトナの経営者が眉を顰めるだけのキワモノなのだろうか。​実はこの制度を使えば敵対的買収も回避できるのだ。

関連のM&A速報