経営再建中のカタログ通販会社・千趣会<8165>が3期ぶりに黒字転換することになった。2019年12月期は当初7億円の営業損失を見込んでいたが、2019年を初年度とする3カ年の中期経営計画で構造改革に取り組んだ結果、初年度から予想以上の成果が生まれ、5億円の営業利益を計上できる見込みだ。

同社は赤字に陥った2017年以降、業績回復を視野に子会社3社を手放した。だが、もともとは子会社化や事業譲受により業容を拡大してきた企業であり、黒字転換とともにM&Aも売りから買いに転換する可能性は高そうだ。

3期ぶりに復配も

千趣会は12月20 日に2019年12月期の業績予想を上方修正した。売上高は890億円で変化はないが、営業損益が12億円改善したほか、経常損益も13億円改善し11億円の黒字に転換、当期純利益は16億円増え、79億円になる。

事業構造改革によって売上総利益率の改善や販管費の削減などが進んだほか、テレビコマーシャルやウェブコマーシャルなどの販売促進費の一部を絞り込んだことで、営業損益が黒字化した。これに伴い、2019年12月期は3期ぶりに復配し、2円配を実施する。

早期の業績回復を目的に策定した2019年12月期から2021年12月期までの3カ年の中期経営計画では、2018年12月期の売上高1133億円、営業損益40億円の赤字を、2021年12月期には事業規模の適正化により売上高は920億円に減少するものの、営業利益は40億円を見込んでいた。

初年度の2019年12月期は売上高940億円、営業損益7億円の赤字見込みだったが、思い切った開発や生産、調達などの構造を見直した結果、早々に成果が表れた。

赤字期間中に譲渡した子会社は衣料品などの管理、梱包、出荷などを手がけるベルメゾンロジスコ(2017年7月発表)、機能性食品や内祝いギフトなどの通販事業のベルネージュダイレクト(2018年10月発表)、ショッピングサイト運営のモバコレ(2019年3月発表)の3社。

ベルメゾンロジスコはコア事業に集中することで業績回復を目指したもので、住商グローバル・ロジスティクスに譲渡した。

ベルネージュダイレクトを雪印メグミルクに、モバコレをロコンドに譲渡したのも発表資料に明記はしていないものの、ほぼ同じ目的であると思われる。

同社のホームページによると2008年以降6社を子会社化や持分法適用関連会社化しており、M&Aによって業容を拡大してきた経緯がある。譲渡したベルネージュダイレクトとモバコレについては、こうしたM&Aで子会社化した企業だった。

千趣会の沿革と主なM&A
1954 千趣会の前身「味楽会」発足。こけし頒布会開始
1955 千趣会設立
1976 カタログ「ベルメゾン」を創刊
1984 大阪証券取引所第二部に上場
1988 東京証券取引所第二部に上場
1990 東京・大阪証券取引所第一部に上場
2000 オンラインショッピングサイト「ベルメゾンネット」をオープン
2008 大阪・東京本社の2本社制に移行
2008 ディアーズ・ブレインを子会社化
2010 モバコレを子会社化
2013 主婦の友ダイレクト(現ベルネージュダイレクト)を子会社化
2013 保育所運営事業に関与
2015 プラネットワークを子会社化
2015 ワタベウェディングに出資、持分法適用関連会社化
2017 ニッスイファルマ・コスメティックス(現ユイット・ラボラトリーズ)を子会社化

文:M&A Online編集部