不動産・ホテル業のユニゾホールディングスをめぐる買収騒動が新局面を迎えた。ユニゾは22日、従業員による買収(EBO=エンプロイー・バイアウト)を実施して非公開化すると発表した。

米投資会社ローン・スターが支援

従業員(グループ19社)と米投資ファンドのローン・スターが出資する新会社がユニゾに対してTOB株式公開買い付け)を実施し、全株式の取得を目指す。ユニゾに関しては現在、ソフトバンクグループ傘下の米投資会社フォートレス・インベストメント・グループによるTOBが8月以降現在も進行中だが、ユニゾ株の買付価格としてフォートレスを1000円上回る5100円を提示した。買付代金は最大1745億円。

TOBは上場企業の買収などを行う方法として広く用いられている。その際、当該企業の経営陣による買収(MBOマネジメントバイアウト)というケースがあるが、従業員による買収は上場企業として前例がないとみられる。TOBが成立すれば、小崎哲資ユニゾ社長はじめ、グループのすべての取締役、監査役、執行役員が2020年3月16日付で辞任する予定。

ユニゾ株の買付主体となるチトセア投資(東京都中央区)はユニゾ従業員が73%、ローン・スターが27%を出資して設立した。買付価格5100円は先週末のユニゾ株の終値4900円に対し約4%のプレミアムを加えて設定。

最大100%(3422万126株)、最低でも3分の2以上(2281万3400株)の取得を目指す。買付資金はローン・スターが支援する。買付期間は12月24日~2020年2月4日。買付代理人は東海東京証券。

HISのTOBから2転、3転

ユニゾに対しては現在、フォートレスによるTOBが進行中。別途、ユニゾは米投資会社のブラックストーンをはじめ、国内外の投資ファンドや事業会社との間で買収提案に関する協議を進めていたが、今回の従業員主導によるTOB開始に伴い、フォートレスを含めて一連の協議を終了する。

ユニゾをめぐっては8月に、旅行大手のエイチ・アイ・エス(HIS)が敵対的TOBを開始し、これに対抗する形でフォートレスがユニゾ経営陣の賛同を得てTOBに参戦した。HISのTOBを阻止することに成功した。ところが、9月末にユニゾがフォートレスのTOBへの賛同を撤回し、留保に変更した。そうした中、ブラックストーンが1株5000円でTOBを提案するなど混迷の様相を呈していた。

フォートレスのTOB自体も成立が見込めない状況の中、買付期間(2020年1月8日まで)はこれまで9度延長され、90日に及ぶ異例づくめの展開となっている。 ユニゾは22日、フォートレスのTOBに対する意見を従来の留保から「反対」に改めた。

文:M&A Online編集部