米アップルの新型ワイヤレスイヤフォン「AirPods Pro」の販売が好調だ。2019年10月に発売されて2カ月、税別で2万7800円と高価格にもかかわらず直販サイトでの納期は1カ月先。アップルも「AirPods Pro」の月産台数を現在の2倍の200万台に引き上げたと伝えられるほどの大ヒット商品になった。

「音楽のプロ」が起業したビーツ

通常、こうした純正アクセサリー品がヒットするのは稀(まれ)。スマートフォンの「iPhone」やタブレット端末の「iPad」に接続するのなら、純正でなくても他社製品が利用できるからだ。特にイヤフォンやヘッドフォンには純正よりも高音質で高性能な製品がいくらでもある。

しかし、アップルはイヤフォンに「本気」を出した。その布石となったのが、2014年の米ビーツ・エレクトロニクス(Beats Electronics)買収だ。同社はカリフォルニア州サンタ・モニカに本社を置くオーディオ機器メーカー。

「ドクター・ドレー」で知られるラッパーで音楽プロデュースも手がけるアンドレ・ロメル・ヤング氏とインタースコープ・レコード会長のジミー・アイオヴィーン氏が、2008年に創業した「音楽のプロ」によるスタートアップ企業だ。

米国発の世界的なスーパースターであるレディー・ガガ氏や米プロバスケットボールのレブロン・ジェームズ選手、フランス人ディスクジョッキー(DJ)のデビッド・ゲッタ氏などが製品開発にかかわるなどして、若者の人気を集めた。特に人気があるのは低音を強調したヘッドフォンだ。

若者に人気があるビーツのヘッドフォン(アップルホームページより)

そしてビーツは2014年に、30億ドル(約3250億円)でアップルに買収される。買収後もビーツブランドは存続している。もっとも同社は日本のソニー<6758>や独ゼンハイザー、米ボーズなどの先発メーカーに比べれば、技術的に優れているわけではない。