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「Tモバイル」と「スプリント」の合併ストラクチャー

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Sprintを存続会社とし  “第2合併”を行う

本題のT-mobileとSprintの合併についてだが、T-Mobileが直接Sprintを吸収合併する、といったことは行われておらず、まずT-Mobileの下に新たに2つの特別目的会社を設立し、それからそれぞれの特別目的会社が合併取引を行うスキームとなっている。なぜこのようにスキームを複雑化しているのだろうか?

まず、T-Mobileの下に設立した完全子会社であるT-Mobile Merger Co. が存続会社として、Starburstを吸収合併している(上図「第1合併」)。その際、T-Mobile Merger Co. は、合併の対価として親会社であるT-Mobileの株式をStarburstの株主であるソフトバンクに対して交付している。T-Mobile Merger Co. からしたら、親会社の株式を合併対価として交付していることから、当該取引はいわゆる三角合併に該当する。

この点、法人税法においては、合併法人が被合併法人に対して交付する対価が合併親法人の株式のみであり、合併親法人と合併法人の間に完全支配関係がある場合、被合併法人の株主は旧株の譲渡損益の課税を繰り延べることが認められている。

つまり、T-Mobile Merger Co. がStarburstを合併する際、親会社であるT-Mobileの株式のみを対価とすることで、ソフトバンクは当該合併によって生じるStarburst株式の譲渡損益を繰り延べることができる。一方で、T-Mobileが直接合併を行ってしまうと、この特例を使うことができず、Starburst株式の譲渡損益に対して課税が行われるため、わざわざT-Mobileの下に特別目的会社を設立しているのだ。

photo by Mike Mozart:Tモバイルの店舗

この第1合併直後に、T-Mobile Merger Co. の下にはさらにもうひとつT-Mobile Merger Subという会社が設立されており、この会社をSprintが存続会社として吸収合併を行っている(上図「第2合併」)。なぜSprintが存続会社となっているかというと、アメリカでは日本よりも権利・契約等の移転手続が煩雑かつ困難であるため、Sprintを存続会社とすることで、Sprintの権利・契約などをT-Mobile Merger Subに移転させる法的手続を削減する必要があったのである。

ただ、T-MobileとSprintの合併比率は1:0.10256であり、結果的にSprintの支配を獲得するのはT-Mobile Merger Co. であることから、当該合併は、存続会社が被支配会社となる、いわゆる逆取得に該当する。さらに、今回はSprintの株主に交付される対価のすべてが、消滅会社の親会社であるT-Mobileの株式であることから、当該第2合併は逆三角合併と呼ばれる。

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