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「Tモバイル」と「スプリント」の合併ストラクチャー

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「最適解」求めてプロ集団が綿密なスキームを設計

なぜT-Mobile Merger Co. の下にもう一つの会社を設立されているのであろうか。これは、先ほどの三角合併時の課税の繰延要件のひとつである、「完全支配関係が継続すること」という点に抵触しないようにするためであると考えられる。

つまり、SprintがT-Mobile Merger Co. を吸収合併してしまうと、この時点で合併親法人であるT-MobileとT-Mobile Merger Co. の完全支配関係が断絶され、先述したStarburst株式の譲渡損益に係る課税を繰り延べることができなくなってしまうのである。そのため、T-Mobile Merger Co. の下に、買収されるための会社を設立したうえで、Sprintが合併を行うようにしたのである。これら一連の取引が行われることで、最終的な資本関係図は下図のようになる。

(参考:https://www.softbank.jp/corp/news/press/sb/2018/20180430_01/

なにもいたずらに組織再編のスキームを複雑にしているのではなく、法務面、税制面で最適となるようなスキームとなるように、投資のプロ集団が緻密な設計を行っているということが、今回の事例を通して読み取れるだろう。合併スキームだけでなく、実際のビジネスにおいても、今回の合併が当事者全員にとって最適なものとなることを期待したい。

文:M&A Online編集部

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