武田薬品工業<4502>によるアイルランドの製薬会社シャイアー買収のカウントダウンが始まった。3日後の2019年1月8日に英国の裁判所の認可が下りれば、買収が成立するのだ。 

2018年5月8日に買収を発表して約8カ月。6兆8000億円という日本での過去最高額となるM&Aが現実のものとなる。 

武田薬品はこの間、買収資金の手当て、武田薬品、シャイアー双方の株主の承認、公正取引委員会など各国の規制当局の承認など、一つひとつ準備を進め、残るのは英国裁判所の認可だけとなっていた。それもあと3日で終止符が打たれる見込みだ。

関心は買収後の懸念払しょく

当初、武田薬品が発表した資料では、1月8日の英国裁判所の認可のあと2019年6月までに買収を完了するとしており、早ければ1月中にも買収が完了する可能性がある。  

ここまでくると次は買収後のことが気にかかる。武田薬品によるシャイアー買収に反対してきた「武田薬品の将来を考える会」が反対理由として挙げていた懸念材料が、買収と同時にリアルなものになる。

その一つが6兆8000億円の買い物は「高値づかみ」ではないかという点。根底には日本企業の海外M&Aの成功率が低いという状況がある。交渉ベタなのか、M&A後の管理が下手なのか、日本企業による失敗事例が後を絶たない。 

欧米の企業にかかわらず、売り手は少しでも高く売るために企業の状態をよく見せようとする。負の部分を隠そうとすることもある。このため買収後負債処理で苦労する例や、現地経営者や従業員と摩擦を起こし、経営がうまくいかないケースなどもある。

「武田薬品の将来を考える会」は買収総額が当初案よりも15%膨らんだ要因は、シャイアー会長のスーザン・キルスビー氏がM&Aのプロだからと指摘する。キルスビー氏は現クレディ・スイスなどの投資銀行でM&A 業務に携わっており、高く売るための手法を熟知していたというわけだ。

このほかにも米国はトランプ政権が高い薬価に対する批判を行っていることから、医薬品市場が不安定であり、米国市場に強いシャイアーにとっては逆風が吹いているという。

こうした懸念を武田薬品は、シャイアー買収準備のように一つひとつクリアにしていくことなる。3日後に見込まれている英国裁判所の認可は一つの通過点に過ぎない。

文:M&A Online編集部