小僧寿し<9973>が介護施設の運営を手がける子会社を売却することになった。低迷する業績を改善するため主力の「持ち帰り寿司事業」と「デリバリー事業」に経営資源を集中するためだ。 

同社は2015年12月期に一時的に営業黒字を計上したものの赤字体質が定着しており、2019年12月期は4期連続の営業赤字となる見込み。 

それが2020年12月期から2022年12月期までの3カ年計画では、営業利益、経常利益、当期利益の全段階で3年連続の黒字を達成し、最終年度の売上高は2019年12月期に比べ2倍近い約117億円を目指すという。 

小僧寿しはどのようにして、このような急成長を実現するのだろうか。 

介護・福祉事業に代わる新たな買収も 

売却する子会社はサービス付き高齢者向け住宅の運営事業を展開する介護サポートサービス(東京都品川区)で、経営成績や財務状態は公表していないが、小僧寿しの2018年12月期決算では、介護・福祉事業部門の売上高は2億7700万円、営業損失は6900万円だった。2019年12月期第3四半期決算でも売上高は2億2200万円、営業損失は3800万円となっており、売却によって減収となるものの利益の改善効果は見込める。 

介護サポートサービスは小僧寿しが2016年に子会社化した高齢者向けのコミュニティサイトや介護業界向けの求人サイトなどを運営する、けあらぶ(東京都品川区)の子会社であり、小僧寿しが主力事業に経営資源を集中する中で、今後けあらぶ自体の譲渡も俎上に載ってくる可能性は否定できない。 

介護サポートサービスの売却先である東洋商事(東京都中央区)は、小僧寿しの株主であり焼肉店の牛角などを展開するJFLAホールディングス(HD)<3069>の傘下企業であるジャパン・フード&リカー・アライアンスの子会社で、東洋商事の西澤淳代表取締役は小僧寿しの社外取締役を兼ねている。 

小僧寿しは急成長の手段として、持ち帰り寿司形態の小僧寿しと、出前代行サービス業を手がける子会社のデリズの併設型店舗の積極的な出店や、新規事業、新業態の開発などを上げており、これら対策と並んで、JFLAHDブランドの導入も成長戦略の一つとして位置付けている。

寿司業界は回転寿司市場の成長が見込まれているものの、小僧寿しが主力としている持ち帰り寿司市場は衰退傾向にある。一方で飲食のデリバリー市場は拡大している。 

衰退する持ち帰り寿司事業にデリバリー機能を付加することで、事業の立て直しを進める戦略は理にかなっているように見える。協力関係にあるJFLAHDのブランドを活用するのも効果がありそうだ。 

そのJFLAHDはM&Aによって業容を拡大してきた実績を持つほか、デリバリー事業を手がけるデリズは2018年に子会社化したばかりの企業だ。 

長年続いた赤字体質からの脱却を目指す3カ年計画を絵に描いた餅ではなく、現実のものとするためには、デリバリー事業の拡大やJFLAHDのブランドの活用に加え、介護・福祉事業に代わる新たな企業や事業の買収も一つの選択肢として浮上しそうだ。

【小僧寿しの業績推移】

  2018年12月期 2019年12月期 2020年12月期 2021年12月期 2022年12月期
売上高 55.17 60.35 69.46 88.72 117.74
営業利益 △5.91 △0.55 0.36 1.83 4.33
経常利益 △6.07 △0.35 0.56 2.03 4.53
当期損益 △16.78 0.05 0.26 1.26 2.81

(単位:億円、△はマイナス。2019年12月期は予想、2020年12月期-2022年12月期は3カ年計画)

文:M&A Online編集部