吉野家ホールディングス(HD)<9861>がステーキレストラン「フォルクス」や、しゃぶしゃぶレストラン「しゃぶしゃぶどん亭」などを手がける子会社のアークミール(東京都中央区)を、焼肉レストランなどを展開する安楽亭<7562>に売却する。

アークミールの業績が低迷し2019年2月期に大幅な最終赤字に陥ったため、事業構成を見直し譲渡に踏み切った。これに伴って、吉野家HDの利益面にはプラスの効果が期待できる。

一方、安楽亭は同社の焼肉と、アークミールのステーキやしゃぶしゃぶは食材や店舗運営などで共通部分が多いためシナジー効果が見込め、収益基盤を強化できるとしている。

ただ安楽亭の2020年3月期の当期純利益は2900万円とわずかなため、アークミールの業績によっては2期連続の赤字に陥る可能性がある。

外食産業は原材料費や人件費が上昇しており、消費者の節約志向なども加わり厳しい経営環境が続いている。安楽亭はアークミールの子会社化で業績を好転させることができるだろうか。

2020年は大きな転換点

吉野家HDの2020年2月期第2四半期の決算によると、アークミールの上期の売上高は前年同期比0.7%の減収で、セグメント損益は2億3900万円の赤字だった。キャンペーンの実施やメニューの見直しなどでセグメント損益に改善の兆しが見られたものの黒字化までは至らなかった。

【アークミールの業績推移】

  2017 年2月期 2018年2月期 2019年2月期
売上高(億円) 227.54 224.06 202.05
営業利益(億円) 1.82 2.12 △9.3
経常利益(億円) 1.48 2.29 △9.47
当期損益(億円) △3.06 △1.4 △21.16

吉野家HDはアークミール単体の通期見通しを明らかにしていないが、上期の赤字分に加え原材料費や人件費などのコストアップ要因を考えると、2020年2月期の黒字化は厳しい状況にあるといえる。

このため安楽亭にはマイナスの影響が予想されるが、株式譲渡日が2020年2月29日のため、安楽亭の2020年3月期決算に与える影響は限定的であり、当期損益の黒字確保については締めてみないと分からないといったところだろう。

アークミールは2008年2月に吉野家HDの傘下に入っており、12年弱で吉野家グループから離れることになった。赤字企業の売却によって利益面ではプラスの効果が見込めるものの、売上高2000億円ほどの吉野家HDにとって、売上高200億円ほどのアークミールが抜ける穴は小さくはない。

吉野家HDは今回の売却に伴い成長事業への投資を戦略的に行うとしており、他のセグメントである牛丼の「吉野家」、うどんの「はなまる」、すしの「京樽」などの出店加速や海外展開強化、さらにアークミールに代わる新たな企業の買収なども予想される。

安楽亭、吉野家ともに2020年は大きな転換点になりそうだ。

【安楽亭の業績推移】※2020年3月期は予想

  2017年3月期 2018年3月期 2019年3月期 2020年3月期
売上高(億円) 165.39 169.47 163.42 156.52
営業利益(億円) 1.93 3.48 1.85 2.5
経常利益(億円) 1.71 3.2 1.26 2.47
当期損益(億円) △0.73 1.49 △1.03 0.29

【吉野家ホールディングスの業績推移】※2020年2月期は予想

  2017 年2月期 2018年2月期 2019年2月期 2020年2月期
売上高(億円) 1886.23 1985.03 2023.85 2080
営業利益(億円) 18.65 40.19 1.04 10
経常利益(億円) 27.5 46.04 3.49 15
当期損益(億円) 12.48 14.91 △60 1

文:M&A Online編集部