化学合繊大手による「自動車部品メーカーの買収合戦」が激化

今後も成長が見込まれる自動車向け炭素繊維部品では、国内化学合繊大手がM&Aでしのぎを削っている。三菱ケミカルは2017年10月に自動車用の炭素繊維複合材部品を生産する伊C.P.C. SRLに約80億円出資し、持株比率を44%とした。

東レ<3402>は蘭テンカーテ・アドバンスト・コンポジット・ホールディングを約1200億円で買収した。テンカーテは航空機向け炭素繊維複合材部品が主力だが、今後は自動車部品に注力するという。この買収額はEBITDA(利払い前・税引き前・償却前利益)の約20倍に達した。

なぜ、東レがこれだけの資金を投入するのかといえば、テンカーテが炭素繊維複合材を熱で焼き固めるため時間がかかる部品生産をプレス加工などで効率良く連続量産できる技術を持つからだ。

自動車向け炭素繊維を生産する米テイジン・カーボン・ファイバーズの
新工場起工式(同社ホームページより)

国内化学合繊大手の自動車業界での競争は炭素繊維の品質や機能、価格から、部品の生産性やコストという「川下」のステージに移っている。当然、各社とも自動車部品生産のノウハウや販路はないので、部品メーカーを買収することになるのだ。

自動車部品で炭素繊維などを使う複合材料部品は、車体軽量化のニーズがある限り増え続ける。特に現在はごく一部の高級車にしか採用されていないボディ(車体)が「オール炭素繊維化」されれば、使用量は飛躍的に拡大する。

受注量は航空機の比ではなく、とてもではないが現在の生産規模では間に合わない。今後も帝人はじめ国内化学合繊大手による自動車部品メーカーのM&Aは続きそうだ。