大手書店チェーンの文教堂グループホールディングス(HD)<9978>が苦境に立たされている。2018年8月期決算で2億3300万円の債務超過に陥ったのに伴い、東京証券取引所は11月末に同社株式を上場廃止の猶予期間入り銘柄に指定した。出版市場の縮小に歯止めがかからない中、書店経営を取り巻く厳しい現状が改めて浮き彫りになった。

上場廃止の懸念も

債務超過は債務の額が資産の額を上回っている状態。このため、すべての資産を売却しても債務を完済できない。当然、資本の部はマイナスとなる。

文教堂HDの2018年8月期に20店舗の不採算店舗の閉鎖と13店舗のリニューアルなど事業構造改革を実施。これに伴うコスト増などを主因に、営業損失5億4500万円(前期8900万円の黒字)、経常損失5億8900万円(同1億2800万円の黒字)、当期損失5億9100万円(同2400万円の黒字)を計上した結果、2億3300万円の債務超過となった。今期(2019年8月期)中に債務超過を解消できないと、上場廃止となる。

債務超過をめぐっては1年前、その渦中にあったのが東芝だ。不正会計や米原発事業の巨額損失で経営の屋台骨が揺らいでいたのは記憶に新しい。約6000億円の第三者割当増資などで財務体質を改善して2018年3月期末が期限だった債務超過の解消にめどをつけ、上場廃止を免れた。

では、文教堂HDはどう対応するのか。引き続き不採算店舗の閉店を進めるとともに、文具や季節商材などの高収益商品の販売を拡大し、収益確保に努める。財務面では不採算店舗閉店による在庫削減、グループ内の保有不動産の売却・賃貸を進めるほか、増資も検討し、速やかに債務超過を解消するとしている。

売上高が7年前より100億円ダウン

業績の推移をみれば、出版不況の影響が如実に表れている。文教堂HDの2018年8月期の売上高は前年同期比8.5%減の273億円。実に、この7年前で売上高はほぼ100億円ダウンした(2011年8月期は375億円)。

売り上げ減につれて収益力も急速に低下。営業、経常、当期の全利益項目で過去5年間に4度損失を計上。店舗数は144店舗(8月末)で、東京、神奈川をはじめ全国19都道府県で展開する。店舗収益が向上しないまま、不採算店舗の閉店を中心とするリストラ費用ばかりがかさむ悪循環に陥っていた。

今回の債務超過の事態を受け、創業家出身の嶋崎富士雄社長は退任し、佐藤協治常務が後任に就いた。実はこのトップ人事が発表されたのは11月28日に予定していた定時株主総会の前日。嶋崎氏が取締役退任を申し出たことから、株主総会への取締役選任の議案内容の一部を急きょ変更するドタバタがあった。

もっとも書店の窮状は同社だけでなく、業界全体の構造的な問題だ。実際、出版物の売れ行き不振は目を覆いたくなる。