19日に東証1部に上場したソフトバンク<9434>は厳しいデビューとなった。注目の初値は1463円となり、公開価格(売出価格)の1500円を2.5%下回った。大規模な通信障害や中国製通信機器排除の動きなど悪材料が噴出する逆風下、公開価格割れは市場の大方の予想通り。とはいえ、「平成最大」のIPO(新規上場)であるソフトバンクにとっては“不名誉”以外の何ものでもない。

公開価格割れは今年 7社目

2018年のIPO企業はこれまで82社(19日現在)あるが、このうち公開価格を初値が下回ったのは同社が7社目。

初日は公開価格を一度も上回ることはなく、終値は1282円とこの日の最安値をつけた。このため、1株1500円で事前に購入していた投資家は売却の有無にかかわらず、いきなり損失を抱えた格好だ。

「市場のことは市場に聞け」とは証券界の金言だが、株価の方向性が定まるまではもうしばらく時間を要しそうだ。

親会社のソフトバンクグループ<9984>は保有するソフトバンク株の3分の1超を売却し、市場から約2兆6000億円を調達。1987(昭和62)年のNTT上場時の約2兆3000億円を上回り、調達額は過去最高となった。

19日の日経平均は続落し、127円安の2万987円と約9カ月ぶりの安値圏で取引を終了した。この日はソフトバンクのほかに、人工知覚(AP)技術開発のKudan<4425>がマザーズに新規上場した。

初値をさらに下回り、初日は1282円で取引終える

ソフトバンクは公開価格の1500円を37円下回る1463円の初値をつけた後、売り気配が一段を広がり、午前の取引は1360円で終えた。午後も下げ止まらず、終値は1282円と初値を12%下回った。個人投資家の間には損失覚悟の売りもあったと見られる。

ソフトバンクとは対照的に、Kudanは公開価格3720円に対し、終日買い気配が先行。結局、8560円の買い気配で初値がつかないまま初日を終えた。

ただ、注目すべきはソフトバンクの売買代金のスケール。この日の売買代金は3840億円にのぼり、1銘柄だけで東証1部全体(約2兆8000億円)の1割を優に超えるモンスターぶりを発揮した。

ちなみに、前日(18日)に新規上場したテクノスデータサイエンス・エンジニアリング<7046>、田中建設工業<1450>はいずれも初値が公開価格を上回った。なかでも人工知能(AI)関連のテクノスデータサイエンスは公開価格3200円に対し、倍近い6350円の初値をつける活況だった。

反転なるか

初値に過度に一喜一憂する必要はないが、文字通り、初値は上場会社にとって一度限りのこと。2018年のIPO企業のうち、初値が公開価格を下回ったのはソフトバンクを含めて7社(表を参照)。ソフトバンクは初日を終えたばかりだが、その以外の6社は19日の終値ベースで株価が公開価格ばかりか、初値にも届いていない。

ソフトバンク株の行方はどうなるのか。

〇2018年のIPOで公開価格を割り込んだ企業(単位は円。現在は19日の終値)


公開価格初値現在
ソフトバンク 1500 1463 1282 
アルテリア・ネットワークス 1250 1190 1162
DeltaーFly Pharma 4770 4385 3335 
ワールド 2900 2755 1553 
ナルミヤ・インターナショナル 1560 1501 1016
キュービーネットホールディングス 2250 2115 1936 
信和 1150 1106 1003 

文:M&A Online編集部