ソフトバンクグループ<9984>の通信子会社、ソフトバンク<9434>が12月19日に東京証券取引所1部に新規上場(IPO)する。抽選の末に手に入れたソフトバンク株の購入者にとって最大の関心事は初値の行方だが、いきなり損失を抱えるリスクがくすぶっている。大規模通信障害など悪材料の噴出をきかっけに市場には疑心暗鬼が渦巻いており、売りが優先すれば、公募価格割れとなるからだ。

ただ、12月に入ってIPOした7銘柄のうち6銘柄は初値が公開価格(売出価格)を上回っているのは救い。平成最大のIPO銘柄は上場初日をどう迎える?

悪材料が重なる

ソフトバンク株の公開価格は10日に1株1500円に決定。一般投資家による購入手続きは11~14日で終了した。ソフトバンクグループは保有するソフトバンク株の約3分の1を売却し、市場から約2兆6000億円を調達する。1987(昭和62)年のNTT上場時の約2兆3000億円を上回り、調達額は過去最高となる見通しだ。グループの総帥・孫正義氏のカリスマ性に加え、「平成」の最後を飾る超大型IPOとあって、投資家ならずとも、世間の耳目がいやがうえにも集まった。

本来なら、ソフトバンク株の購入者はホクホク顔で上場初日を迎えるはずだった。値上がりが確実視されるIPO株だけに、即売却すれば、儲けは間違いないと見られていた。

ところが、冷や水を浴びせたのが12月初めに発生した大規模通信障害。約3060万回線が日中の4時間半にわたり、通話や通信ができなくなった。これだけではない。

追い討ちとなったのが米政府による中国製通信機器の排除方針だ。日本政府も中国による不正な通信傍受など安全保障上の懸念があるとし、米政府に同調。ソフトバンクは現行の4G(第4世代通信)で中国の通信機器大手のファーウェイ(華為技術)、ZTE(中興通訊)の設備を基地局に導入しているほか、5G(次世代通信)ではファーウェイと開発面で連携を進めていた。このため、今後経営上の戦略転換を迫られる情勢となったのだ。

72勝6敗

72勝6敗ー。2018年のIPO企業はこれまで78社(12月17日現在)を数えるが、初値が公開価格を上回ったのは72社で、逆に初値が公開価格を割り込んだのは6社に過ぎない。

17日にはグッドライフカンパニー、ツクイスタッフがそろってジャスダックに上場した。グッドライフカンパニーは公開価格1600円を22%上回る1951円の初値(終値は1727円)を、ツクイスタッフは公開価格2630円を53%上回る4030円の初値(終値は4200円)をつけた。

株価は12月に入って下げが続いた。ただ、上記の2社を含めて12月に新規上場した7社のうち、初値が公開価格を下回ったのは1社だけで、軟調な株価の中でIPO銘柄の健闘ぶりが目立つ。

悪材料一巡とみるかどうか

18日もテクノスデータサイエンス・エンジニアリングがマザーズに、田中建設工業がジャスダックへと連日上場が続く。“本命”のソフトバンクをめぐって、市場は悪材料一巡とみるのかどうか、その答えが出るのはいよいよ明日だ。

文:M&A Online編集部