中古品や新品の宝石、貴金属、時計、バッグ、衣料、着物、カメラ、楽器などの仕入や販売などを手がけるコメ兵<2780>が、2017年12月以降の2年弱で5社の企業買収を実施(1社は2019年10月発表、12月実施予定)した。
それまでは2012年にクラフトの株式を100%取得し、タイヤ・ホイール事業に参入した案件のみだったため、この2年間でM&Aが急増したことなる。
理由は2022年3月期を最終年度とする中期経営計画で掲げた「ブランド・リユース業界でのトップシェアを確保するために、総流通量を増やす」との目標にある。
買収企業5社中、自動車部品を手がけるフォーバイフォーエンジニアリングサービス(売上高1億1300万円)を除けば、4社はいずれもファッションリユース事業やブランド・ファッション事業の専門性強化と取扱量増大に貢献できる。
もちろん同社では中古品の買い取りセンターや販売店舗を増やすなどの取り組みを並行して実施しているが、M&Aが総流通量の拡大という目的の達成に寄与することは間違いない。
2017年12月に子会社化したのは、アパレルとスニーカー事業を展開するイヴコーポレーション(売上高7億7100万円)と、EC(電子商取引)販売で靴手入れ用品事業を手がけるアークマーケティングジャパン(売上高1億4900万円)の2社。
両社をグループに取り込むことで、ファッションリユース事業とアパレル、スニーカー、靴手入れ商材とのシナジーを追求し、他社との差別化を推進するのが狙い。2018年11月にはイヴコーポレーションがアークマーケティングジャパンを吸収合併した。
2018年11月に子会社化したのはアンティーク時計やアンティークジュエリーの販売を行うシエルマン(売上高9億6300万円)。ブランド・ファッション事業とシエルマンの時計やジュエリー事業を連携するのが狙いだ。
2019年12月には中古ブランド品の買い取り販売を手がけるブランドオフ(売上高144億5000万円)から全事業を譲受する予定。両社が持つブランド・リユース業界におけるノウハウやネットワーク、顧客基盤、人材などを一体化することで、成長を加速する。
中期経営計画の最終年度である2022年3月期の業績は、売上高が2019年3月期比33.4%増の680億円、営業利益が同41.4%増の26億3000万円、当期利益が同68.5%増の17億円の見込み。
いずれも大幅な伸びを想定しており、これら数字達成のためにM&Aの出番はまだまだありそうだ。
年月 | コメ兵の沿革とM&A |
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1947年 | 古着屋の米兵商店を名古屋市中区に出店 |
1951年4月 | 合資会社米兵設立 |
1987年9月 | 米兵からコメ兵に社名変更 |
2003年9月 | 日本証券業協会(JASDAQ)に株式を店頭登録 |
2012年1月 | クラフトの株式を100%取得し、タイヤ・ホイール事業に参入 |
2017年12月 | アパレルとスニーカー事業のイヴコーポレーションの株式を100%取得し子会社化 |
2017年12月 | 靴手入れ用品販売のアークマーケティングジャパンの株式を100%取得し子会社化 |
2018年11月 | アンティーク商品販売のシエルマンの株式を100%取得し子会社化 |
2019年5月 | 自動車部品のフォーバイフォーエンジニアリングサービスの株式を100%取得し子会社化 |
2019年12月 | 中古ブランド品買取販売のブランドオフの全事業を取得(予定) |
文:M&A Online編集部
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