フリービット<3843>がカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC、東京都渋谷区)との資本、業務提携を解消し、代わって電子部品や車載情報機器を手がけるアルプスアルパイン<6770>との連携に乗り出した。

IoT(モノのインターネット)をはじめとしたモバイル通信サービス市場が飛躍的に拡大することが見込めるため 、アルプスアルパインのCaaS(サービスとしての自動車)領域での製品開発を加速するのが狙いだ。

提携を解消するCCCとはどのような関係だったのか。新たな連携先のアルプスアルパインはどのような企業なのだろうか。

提携解消後も店舗でのサービス提供は当面継続

フリービットとCCCは2015年2月に、格安スマートフォンの販売を目的に資本、業務提携し、共同出資会社トーンモバイル(2019年3月末時点での保有割合はCCCが60%、フリービットが40%)を設立した。

トーンモバイルはCCCグループのTSUTAYAや、カメラのキタムラなどの店舗網を利用した対面販売とサポートを組み合わせた独自体制で、子供やシニア、家族向けに支持を広げてきた。

2019年3月期の売上高は32億9100万円で、トーンモバイルにサービスを提供しているフリービットにとって同社との取引規模は第3位に位置しているという。ただ、損益は厳しい状況にあり、過去3年間はいずれも赤字だった。

CCCは2019年の3月22日、5月21日、6月14日(いずれも大量保有報告書提出日)の3度にわたって、フリービットの株式を段階的に売却し、保有割合を10.68%から0%に引き下げ、資本提携を解消した。

こうした状況の中、フリービットは10月17日にトーンモバイルの全事業を譲受することを決め、CCCとの業務提携も解消した。

CCCとは提携解消後もCCCグループの店舗でのサービス提供は当面継続するとしているが、関係が次第に薄らいでいくのは想像に難くない。フリービットはモバイル通信サービスにおいて新たな協業先との展開も準備するとしており、CCCグループの店舗でのサービスの継続期間はそう長くはなさそうだ。

CASE領域参入を加速

一方のアルプスアルパインはCCCが手放したフリービットの株式を6月14日(大量保有報告書提出日)に新規に10.12%保有した。この出資に先立ってアルプスアルパインは2018年11月に、CASE に関する事業基盤構築を目的にフリービットと業務提携した。今回の株式取得を機にCASE領域参入を加速させる方針だ。

CASEはコネクテッド(C)、自動運転(A)、シェアリング(S)、電動化(E)の頭文字をとった造語で、トヨタ自動車や日産自動車などのカーメーカーは、こぞって車載通信機や自動運転、電気自動車の開発に力を注いでいる。

アルプスアルパインは電子部品のアルプス電気と車載情報機器のアルパインが経営統合して2019年1月1日に生まれた企業。カーナビやモニター、カメラ、カーオーディオ、ドライブレコーダーなどの車載情報機器の売上高は全売上高の4割弱を占める。

アルプスアルパインはフリービットが提供しているインターネット上のいろいろなサービスを基に、次世代自動車向けの製品をフリービットと協力して開発することになる。

10%を超える株式を保有する大株主が入れ替わったフリービット。その先行きは自動運転車のように安全に目的地に到達することができるだろうか。

トーンモバイルを巡る動き

内容
2015 1 MVNE(仮想移動体通信サービス提供者)事業のフリービットモバイルを設立
2015 2 カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)グループとの戦略的提携を実施
2015 3 フリービットモバイルがトーンモバイルに社名を変更
2015 3 トーンモバイルがCCCを割当先とする第三者割当増資を実施
2019 10 フリービットがトーンモバイルの全事業を譲受。CCCとの資本、業務提携を解消

【フリービット株式の大量保有報告書提出状況】

提出日保有割合(%)増減(%)保有者
6月14日 0 -8.65 CCC
6月14日 10.12 0 アルプスアルパイン
5月21日 8.65 -1.03 CCC
3月22日 9.68 -1.00 CCC

文:M&A Online編集部