2018年9月に再上場した総合アパレル大手のワールド<3612>が、企業買収を活発化させている。再上場後に適時開示した買収案件は3件、このほかにも1社を子会社化しており、買収企業数は4社に上る。

過去5年間の主な買収の件数(同社ホームページより)は、2015年が1件、2017年が1件、2018年が1件だった。これと比較すると急増していることが分かる。ワールドはなぜ企業買収に力を入れているのか。その戦略を見てみると。

M&Aは再上場の戦略の一つ

ワールドは2005年に長期的、持続的な企業価値の最大化を目的に、MBO(経営陣による買収)による株式の公開買付けを行い非上場化した。その13年後に「企業体質強化のための構造改革プラン完遂」と「持続的成長に向けたコーポレートデザイン構築」といった目的が達成できたとして再上場を果たした。

再上場1カ月前の2018年8月に発表したニュースリリースで「ファッション産業を対象とした他社ブランドへの投資を行い、ファッション産業の発展に貢献する」ことを再上場後の一つの戦略として掲げており、この言葉の通りM&Aを活発化させている。

再上場後初めて買収(2019年3月)したのは、革製のバッグや婦人靴などを製造するヒロフ(東京都渋谷区)。W&Dインベストメントデザイン(東京都港区)、日本政策投資銀行(東京都千代田区)と共同で出資、運営するW&Dデザイン投資事業有限責任組合(W&Dデザインファンド)を通じて実施した。

2件目(2019年3月)は米国のカスタムシャツメーカーのオリジナル社(サンフランシスコ)。同社は米国と日本を商圏に約70万人の会員を擁する。オリジナル社がワールドのモノづくりや物流、デザインなどを活用しサプライチェーンを拡充するとともに、ワールドが将来米国に進出する際にオリジナル社を拠点にするのが狙いという。

3件目(2019年5月)は婦人靴の販売や資材卸などを手がける神戸レザークロス(神戸市)。同社は「ESPERANZA(エスペランサ)」などの靴ブランドを有しており、ワールドのアパレル、服飾、生活雑貨ブランドに新たにエスペランサが加わることによる相乗効果を見込む。

4件目(2019年10月)は高級バッグ事業を展開するラクサス・テクノロジーズ(広島市)。同社はブランドバッグに特化したサブスクリプション(定額課金)型レンタルサービスを主力としており、約600万人の会員を持つワールドとの相互補完効果が期待できるという。ワールドは同社に100億円規模の成長投資を行い、IPO(新規株式公開)を後押しする。

2019年3月から10月までの、わずか7カ月の間に、婦人靴、バッグ、シャツというファッション商品を手がける企業4社を傘下に収めたワールド。その戦略は明確であり、実行力もある。この動きに急ブレーキがかかる要因は今のところ見当たらない。次に買収するファッション企業はどこになるのだろうか。

文:M&A Online編集部