ジャパンディスプレイ(JDI)<6740>は2019年10月23日、取引先から代金の前払いなどで最大400億円の支援を得られる見通しを発表した。JDIは明らかにしていないが、主要取引先の米アップルによる支援とみられる。

液晶で生き残れるのは、せいぜい3年後まで

6月末で700億円を超える債務超過に陥っているJDIは同9月に中国ファンドから出資の見送られ、再建案の抜本的な見直しを迫られている。JDIは筆頭株主で官民ファンドのINCJから受けた400億円の追加融資と合わせて「資金繰り懸念を解消することができた」としているが、見通しは相変わらず厳しい。

そもそもアップルがJDIを支援したのは、2019年9月に発売したiPhoneの液晶搭載モデル「11」の販売が好調なため。JDIが資金ショートで経営が行き詰まった場合、iPhone11の生産に支障が起こる。しかし、アップルが同社を支援するのは、液晶モデルの量産が終了するまで。2020年9月に発売される次期主流モデルからは、全機種で有機EL搭載になる見込みだ。

2020年3月に発売される見通しの廉価版サブモデル「iPhone SE2」では引き続き液晶が搭載される可能性はあるが、2-3年後に「SE3」が投入されるとしても量産効果で価格が下がる有機ELディスプレーが搭載されるだろう。つまり最長でも2023年には「お役御免」となり、アップルがJDIを支援する理由はなくなる。

有機EL参入も「望み薄」

JDIは有機ELの量産を軌道に乗せて2021年モデル以降のiPhone向けに供給を目指すが、当のアップルは期待していないようだ。その証拠は今回の支援が代金の前払いであること。出資や融資ではなく、支払って当然の部品代金の支払いを早めるだけの話だ。

JDIが有機ELの量産にこぎつけても、後発の同社がアップルのサプライヤーに仲間入りできる可能性は低い。アップルは有機ELの調達コストを削減するため、韓国から中国へ調達先をシフトしようとしている。そこに後発で高コスト体質の日本メーカーが食い込む余地はない。

JDIもそれを自覚しており、同社の菊岡稔社長は「2020年中に有機EL量産の決断を下す」と慎重な構えを示す。有機ELは数千億円規模の投資が必要となり、経営再建中のJDIには荷が重い。合弁の新会社で量産するしかないが、経営再建のスキームすら白紙に戻ったJDIと手を組む企業が現れる可能性は低いだろう。

JDIはスマートフォン向けのディスプレーパネルから撤退し、大規模なリストラを断行する覚悟がなければ、生き残りは難しいと言わざるを得ない。

文:M&A Online編集部