投資ファンドのベインキャピタルによる中堅印刷会社、廣済堂(東証1部)へのTOB株式公開買い付け)が4月8日終了した。廣済堂株価の8日の終値は803円。TOBの結果は9日中に判明する見通しだが、市場価格が買付価格の700円を大幅に上回ったまま期限を迎えたことから、不成立が確実視される。

旧村上ファンド系企業の「対抗TOB」は4月18日まで

廣済堂のTOBMBO(経営陣が参加する買収)の一環として行われ、これまでに買付期間を3度延長し、買付価格も当初の610円から700円に引き上げたが、焼け石に水のあり様だった。3月下旬に突如、旧村上ファンドの関係企業が1株750円で対抗TOBを開始したことが株価上昇に拍車をかけた。

ただ、この対抗TOBは4月18日を期限とするが、現状の株価水準が続けば、不成立が間違いないところ。廣済堂陣営としては一定の時間を置いたうえで、再TOBに望みを託す選択肢を検討することになりそうだ。

廣済堂はベインキャピタルと組んで、MBOの一環としてのTOBを1月18日に開始した。完全子会社化による株式の非公開化が目的だ。廣済堂株の買付価格は当初610円で、約5割のプレミアムを加えた。しかし、TOB開始時400円台だった廣済堂株価は現在800円台とほぼ倍の高値にある。

株価上昇のきっかけは2月初めに旧村上ファンド系の投資会社、レノ(東京都渋谷区)による買い占めが判明したこと。廣済堂側は3月8日に買付価格を90円引き上げて700円としたが、それでも当日の同社株価(717円)を下回る設定だった。

レノ側は、この買付価格について「対象企業の既存株主に対して十分な株式価値向上の機会が提供されていない」などとして、廣済堂側より50円高い750円で対抗TOBを3月22日に開始。レノ側は廣済堂株式13.47%を保有し、事実上の筆頭株主。買付予定数の下限は50%で、買付期間は4月18日までの20営業日。

廣済堂側は買付期間を3度延長し、4月8日までの55営業日と異例の長さとなっていた。買付期間は最大60営業日で、さらに5日間延長することが可能だったが、TOB不成立やむなしと判断したようだ。

当面の注目点は対抗TOBの行方。現状はTOBに応募するよりも市場で売却した方が有利な状況で、このままの株価が続けば、TOB成立は困難。レノ側としても廣済堂の経営に参画する意思はないとみられ、株価の上昇は歓迎すべきところだ。

廣済堂、TOB仕切り直しも

ここで思い出されるのは1年ほど前、マグロ運搬船を運航する東栄リーファーライン(当時ジャスダック上場)のMBOに絡むTOB。昨年2月、買付価格を800円と前回より約3割引き上げて再TOBを実施し、成立にこぎつけた。

今夏のケースと同様、レノを含めた旧村上ファンド系企業が大株主として突如浮上し、買付価格を超える株価上昇で一度はTOB不成立に終わった。結果的に旧村上ファンド系勢の参戦が買付価格の引き上げに作用した。

MBO成就を目指すのであれば、廣済堂TOBの仕切り直しの可能性は十分にあり得る。

文:M&A online編集部