ホームセンター大手のコーナン商事<7516>がM&Aを本格化し始めた。目的は首都圏での事業基盤の拡充だ。

プロ向け建築資材卸を240億円で買収

LIXILグループ系列のプロ向け建築資材卸66店舗を運営する建デポ(東京都千代田区)を6月に子会社化する。買収金額は約240億円に上り、同社として過去最大のM&Aとなる。コーナンは近畿(210店舗)を中心に全国356店舗(2月末)を持つが、首都圏では40店強にとどまる。

2017年5月には小田急電鉄のホームセンター子会社、ビーバートザン(神奈川県厚木市)を傘下に収めている。

ホームセンター市場は飽和状態とされる。さらにスーパーやディスカウントストア、ドラッグストアなど他業態との競争激化も加わり、成長が鈍化している。こうした中で、規模拡大を目指すうえでは新規出店よりも同業他社の買収が選択肢として有力とみられる。首都圏強化を掲げるコーナンが台風の目になる可能性もある。

コーナンが買収する建デポは2015年にLIXIL建デポ事業部が分社して発足した。建築・土木、電材・電気工事、住宅設備などに関わるプロ業者を対象とする会員制の卸売店舗としてスタートした。分社の際、独立系投資ファンドのユニゾン・キャピタルが60%強を出資し、LIXILは持分法適用会社(34%出資)としていた。今回両社が保有する全株式(98.20%)を取得する。

建デポは北海道から熊本まで66店舗展開するが、6割にあたる約40店舗は1都3県に集中する。2018年3月期は売上高337億円、営業赤字10億7000万円で、数年前から赤字が続いていた。

店舗2割増も、黒字化が課題

一方、コーナンはホームセンター業態を中心とする合計356店舗(ベトナム2店を含む)のうち、建デポと同業態の「コーナンPRO」を75店舗運営している。首都圏にある全41店舗中、コーナンPROは10店ほど。

コーナンは建デポを傘下に取り込むことで、総店舗数が一挙に2割増え、420店舗を超える。とくに首都圏のグループ店舗数はほぼ倍増する。ただ、問題は建デポの経営を立て直して、早期の黒字化を実現するかだ。

会員制建築資材卸「建デポ」の店舗(東京・成増)

2003年に関東に初出店

コーナンは1978年に堺市に第1号店を開設し、近畿圏でのホームセンターの草分けされる。関東進出は2003年で、都内と横浜の2個所に出店した。その後、東海、東北に店舗を広げてきた。

“東上作戦”を進めてきた同社にエポックが訪れたのは2017年、ビーバートザンの買収だ。同社にとってはM&Aの手始めといえるもので、親会社の小田急電鉄から全株式を取得し、11店舗(現在10店舗)をグループに加えた。

さらに2018年5月にはホームインプルーブメントひろせ(大分市)に出資し、10%強の株式を取得した。同社は食品スーパーとホームセンターを併設した「スーパーコンボ」を主軸に30店舗を展開する地場大手だ。

気になるLIXILビバの存在

ホームセンター業界の4強はDCMホールディングス、カインズ、コメリ、コーナン商事で、それぞれ売上高4000億~3000億円台。なかでもM&Aに意欲的に取り組んできたのが業界最大手のDCM。2006年にホーマック、カーマ、ダイキの3社が経営統合して発足し、2017年には関東本拠の準大手、ケーヨーに出資して持分法適用関連会社とした。

市場の飽和に伴い成長が頭打ちになる中、各社とも勝ち残りに向けてM&Aを模索する動きが強まると見られる。

建デポはコーナン傘下で再出発することになったが、その母体であるLIXILグループには別に、ホームセンター事業を手がける上場子会社のLIXILビバがある。LIXILビバは業界準大手の一つで、関東を地盤とするだけに、気になるのが同社の存在。

建デポの子会社化をきっかけに、首都圏強化を目指すコーナンがLIXILビバに協業など何らかのシグナルを送ることになるのか、今後、要ウオッチといえる。

文:M&A online編集部