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経営再建中のジャパンディスプレイが台中連合の傘下へ

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公開日付:2019.04.15

 経営再建中の(株)ジャパンディスプレイ(TSR企業コード:294505385、東証1部、以下JDI)は4月12日、台湾のタッチパネルメーカーや中国系投資ファンドなどで構成するSuwa Investment Holdings, LLC(ケイマン諸島、以下Suwaコンソーシアム)から総額800億円の金融支援を受けることで合意したと発表した。
 同日18時45分から都内で会見した月﨑義幸・代表取締役社長は、「保有現預金が事業価値の維持に最低限必要な水準を下回る可能性があった」と述べ、財務悪化が金融支援を決断する一因になったことを認めた。

 JDIによると、台湾の電子部品メーカーTPK Holdings Co., Ltdなどが組成するSuwaコンソーシアムへの新株発行で420億円、新株予約権付社債(転換社債)で180億円を調達する。また、必要に応じて転換社債を200億円追加発行する予定だ。これでJDIは最大800億円の資金をSuwaコンソーシアムから調達することになる。調達資金の使途は、380億円を運転資金、92億円を研究開発、320億円を設備投資(端数は発行諸費用など)に充てる。ただ、転換社債を追加発行しない場合、設備投資額を抑制するとしている。
 420億円の新株発行でSuwaコンソーシアムはJDIの議決権の49.8%を握る。転換社債の発行次第では、過半数を握る可能性もある。
 新株の発行で筆頭株主の官民ファンドの(株)INCJ(TSR企業コード:033865507、旧:産業革新機構)の議決権は、25.3%から12.7%まで低下する。INCJは、JDIの金融債務への連帯保証などの既存支援を実行した際、議決権保有比率が20%以下になった場合は契約を解除できる「チェンジ・オブ・コントロール条項」を設定していたが、行使されない見込みであることもJDIは合わせて発表した。
 一連の資金調達は、6月開催予定の定時株主総会特別決議やSuwaコンソーシアム参加企業の機関決定が必要だ。対米外国投資委員会(CFIUS)の審査対象となる可能性もある。
 JDIの目論見通りに調整が進んでも、今回の金融支援策が実行されるのは6月以降だが、年末までずれ込む事態もありうる。この間の資金繰りは、INCJからのブリッジ・ローン(つなぎ融資)で賄う予定という。
 融資枠は「最大600億円」(JDI)で、当面の運転資金は引き続きINCJに依存する。また、つなぎ融資の返済原資は、事業収益力の改善や取引条件の良化(JDIの有利変更)などを見込んでいる。JDIの財務悪化を受け、一部の取引先は決済条件の変更など与信強化に動いていたが、今後、JDIから緩和を要請される可能性もありそうだ。
 2017年8月に掲げた「グローバル企業とのパートナーシップ戦略」の公表にこぎつけたJDIだが、具体的な成長戦略までは言及していない。取引企業は今回の発表が実現するか、当分は動向を見守る日々が続く。

会見する月﨑社長(右)
会見する月﨑社長(右)東京商工リサーチ

東京商工リサーチ「データを読む」より

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