2011年から2013年の3年間に22件のタクシー会社やタクシー事業を買収したあと、その後の5年で4件と鳴りを潜めていた第一交通産業<9035>が、2019年に入って2月と3月にタクシー事業で2件のM&Aに踏み切った。

2010年以降に公表した主なM&A件数は34件で、このうちタクシー関連は31件。さらにこのうちの70%強が2011年から2013年までの3年間に集中していた。

第一交通産業のM&A件数推移

M&Aが成長を加速

第一交通産業は1960年にタクシー会社として創業し、7年後の1967年に第一号のM&Aを実施し、その後はまさにM&Aの歴史が同社の歴史そのものといえるほどだ。

同社の沿革や発表資料などからまとめたタクシー事業の主なM&Aは45件にのぼる。この中には一度の発表で7社を買収した案件も含まれており、買収企業・事業は50を優に超える。

ところが、2010年以降では2012年、2013年をピークにM&A件数が減少、2015年は0、2016年、2017年は1社ずつ、そして2018年は再び0となっていた。

それが2019年に入って、風向きが変わってきた。2月に広島市の広島合同タクシーを子会社化した。これによって広島県内ではグループ4社体制となり、広島県内のタクシー保有台数は18台増えて255台となった。

そして4月には大阪府の池田タクシーのタクシー事業の一部(車両台数32台)を取得。これによって、大阪府内でのグループ全体のタクシー保有台数は921台、第一交通産業全体では8327台となった。

この10年間の業績を見ると、M&Aが活発だった2011年から2013年は売上高、営業利益とも伸びているものの、その後は一進一退で、とくにこの3年は横ばい状態が続いていた。同社のタクシー事業の構成比は54%ほどのため、不動産分譲事業(構成比約21%)などの影響はあるものの、タクシー事業が主力であることに変わりはない。

2011年から2013年までの3年間のように年間6-8件のM&Aが復活するのか。それとも、また鳴りを潜めるのか。2020年東京オリンピックの開催に伴って訪日外国人客の急拡大が見込まれており、同社の動きに関心が高まる。

第一交通産業の売上高推移(単位:億円)2019年3月期は見込み
第一交通産業の営業利益推移(単位:億円)2019年3月期は見込み
件数第一交通産業の主なM&A
1 1967 宮崎県のすみれタクシーを買収
2 1968 鹿児島県の林田タクシーを買収
3 1972 福岡県の大博タクシーを買収
4 1975 大分県の大丸タクシーを買収
5 1980 熊本県のハナカゴタクシー買収
6 1981 山口県の日祥タクシーを買収
7 1985 長野県のマルキチタクシーを買収
8 1986 兵庫県の白浜タクシーを買収
9 1988 長崎県のエボシタクシーを買収
10 1991 埼玉県のサン自動車交通を買収
11 1995 宮城県のワカバタクシーを買収
12
2000 徳島県の徳島南海タクシーを買収
132001 関西の南海電鉄系タクシー子会社7社を買収
142007 千葉県のヒノデを買収
152010 関西の京阪電鉄系タクシー子会社7社を買収
162010 和歌山県の林タクシーからタクシー事業を取得
172010 山口県のゴトウタクシーを買収
182011 山梨県の玉幡タクシーを買収
192011 大阪府の富田林交通を買収
202011 沖縄県の水仙タクシーを買収
212011 和歌山県の白浜観光タクシーを買収
222011 山口県の柳井タクシーを買収
232011 北海道の光星ハイヤーのタクシー事業を買収
242012 沖縄県の平良川タクシーを買収
252012 愛知県の第一タクシーのタクシー事業の一部を買収
262012 兵庫県のゑび須タクシーのタクシー事業を買収
272012 愛媛県の勝山タクシーを買収
282012 愛知県の八千代タクシーを買収
292012 滋賀県の東京滋賀中央タクシーを買収
302012 山梨県の武田名鉄交通を買収
312012 福岡県のひかりタクシーを買収
322013 茨城県の小島タクシーを買収
332013 兵庫県の相生神姫タクシーを買収
342013 長崎県の三光タクシーを買収
352013 北海道の寿ハイヤーを買収
362013 沖縄県のあづまタクシーを買収
472013 京都府の八光タクシーを買収
482013 兵庫県の名神タクシーを買収
492013 福岡県の長住タクシーを買収
402014 大阪府の南大阪交通を買収
412014 福岡県の毎日交通、こくらタクシー、つばめタクシーの3社を買収
422016 愛媛県のすみれタクシーを買収
432017 東京都のユナイテッドキャブを買収
442019 広島県の広島合同タクシーを買収
452019 大阪府の池田タクシーの一部事業を買収

文:M&A Online編集部