【株価】 2015年以降、低迷するも、その後は堅実に推移

 楽天は2013年に東京証券取引所第一部に上場市場を変更した。その後の株価は下図のように推移している。ちなみに、2015年度の1株当たり当期利益は32.3円(前年同期比−39.5%)であり、1株当たりの配当金は4.5円となっている。

【まとめ】 競合激化のなかで、「世界一」への課題は多い

 楽天は「インターネットを通じて人々と社会に力を与えること(エンパワーメント)」を経営理念に掲げるとともに、「世界一のインターネット・サービス企業になる」ことを目標にしている。1997年の創業から短期間で成長を遂げた要因としては、積極的なM&Aの活用による事業領域の拡大とグローバル化が挙げられる。今後さらに成長を図っていくためには、国内におけるフィンテックも活用した顧客獲得の増加に努めるとともに、グローバル展開の更なる拡大が急務である。

国内におけるECサイト・インターネットサービス事業としては最大の事業規模を誇る同社ではあるが、世界一を目指す同社にとって売上のみを見ると、その実現は現実的には厳しい状況である。中国のアリババ集団は、2016年3月に年間総取引額3兆元(約51兆円)となり、米ウォルマートが54年かけて達成した売上高を創業からわずか13年で達成した。Amazonの2015年の年間連結総売上高は1070億ドル(約12兆8,400億円)であり、日本国内でも9,916億8,000万円の売上となっている(下図参照)。Amazonの日本事業は拡大傾向にあり、楽天は日本国内における顧客シェアを海外企業に奪われることに対抗し、さらに海外においても事業拡大を行っていく必要がある。

楽天とAmazonのEコマース売上高比較

ネットショップ担当者フォーラムより/M&A Online編集部作成

 また、楽天は国際会計基準(IFRS)を採用している。ところが、これまではいわば償却を度外視して多くのM&Aを行ってきたため、「のれん」の残高は巨額になっている。そこで直近の16年10~12月期では、動画関連などの「のれん」の償却もあり、243億円の減損損失を計上している。

のれん残高

有価証券報告書より作成/M&A Online編集部作成

 海外事業においては今後、減損対応を余儀なくされるケースが増加するリスクは否めない。しかし、積極策の手を安易に緩めることも、またリスク要因となり得る。過去の投資については失敗を経験として活かし、引き続き良質な案件については適時買収を行う「M&Aによる拡大戦略」を継続することが、「世界一のインターネット・サービス企業になる」ためには不可欠であると言えよう。

この記事は、企業の有価証券報告書などの開示資料、また新聞報道を基に、専門家の見解によってまとめたものです。

文:M&A Online編集部

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