ドトール・日レスホールディングス<3087>は2007年10月、株式会社ドトールコーヒーと外食チェーンの日本レストランシステム株式会社が経営統合して誕生した。セルフサービスのコーヒーショップ国内大手の「ドトールコーヒーショップ」をはじめ、和風スパゲッティ専門店「洋麺屋五右衛門」、カフェ「星乃珈琲店」などをさまざまな業態店を全国でチェーン展開している。現在は上記の外食チェーンをはじめ、ベーカリーの「サンメリー」、食材卸の「日本レストランフーズ」など下表に示す各種の食品生産製造・販売業、卸売業などを子会社化し、グループ会社全体を統括している。

【企業概要】コーヒーショップとレストランのマルチブランド戦略を推進

ドトール・日レスホールディングスの主要な連結子会社である株式会社ドトールコーヒー。その創業者は鳥羽博道氏である。1962年4月、東京都港区にてコーヒーの焙煎会社を創業し、1980年にドトールコーヒーショップ1号店を原宿駅前に出店した。以降、セルフサービスのコーヒーショップのパイオニアとして順調に店舗を全国展開し、1987年には100店舗であった店舗数が2004年には1000店舗に達した。現在もスターバックスコーヒーと並び、高い国内シェアを誇っている。

一方の日本レストランシステム株式会社は、1973年に設立されたショウサンレストラン企画株式会社とジャーマンレストランシステム株式会社(同年設立)が1978年に合併して誕生。和風スパゲッティ専門店「洋麺屋五右衛門」をはじめ、多種多彩な外食チェーンを展開し、2001年に南インド株式会社(旧株式会社ボルツ・ジャパン、インドカレー店「ボルツ」をチェーン展開)と合併した。ちなみに、日本レストランシステム株式会社は経常利益率が10%を超えれば優良企業といわれる外食産業において、20%を超える経常利益率の高収益飲食業として知られている。

合併後の同社のブランド戦略では、コーヒーショップについては様々な価格帯、セルフサービスからフルサービスまで多様な業態を取り揃えている。また、レストランについても幅広いラインナップで、上図に示したようにマルチブランド戦略をとっている。ちなみに近年では、日本レストランシステムとドトールコーヒー双方のノウハウが結実した新業態のカフェ「星乃珈琲店」が好調である。

【経営陣】日本レストランシステムとドトールコーヒー双方の出身者で構成

役員は下表のとおり、日本レストランシステム株式会社と株式会社ドトールコーヒー双方の出身者で構成されている。代表取締役会長の大林豁史氏は日本レストランシステム株式会社の創業者である。東京大学を卒業後、日興証券(現SMBC日興証券)に就職するも早々に退職し、外食産業に参入。食のクオリティーを追求するとともに高収益体質を実現し、業界における高い地位を確立した。株式会社ドトールコーヒーとの経営統合後、大林豁史氏はいったん取締役に退くも、再度、代表取締役会長に就任。現在も「星乃珈琲店」をはじめとする「味」にこだわった高付加価値サービスの提供に経営手腕を発揮している。

一方、株式会社ドトールコーヒーの創業者である鳥羽博道氏は経営統合後、経営の第1線からは退き、後述するように同社の大株主の1人として名を連ねている。なお、鳥羽一族としては、鳥羽博道氏の長男である鳥羽豊氏がドトール・日レスホールディングスの取締役を務めている。

有価証券報告書より作成)

【株主構成】大林一族・鳥羽一族とその財産保全会社が大株主

下表に示すように、筆頭株主は同社会長の大林豁史氏。株式会社マダムヒロは大林会長親族の財産保全会社であり、株式会社バードフェザーリンクはドトールコーヒー創業者である鳥羽博道氏一族の財産保全会社である。前出のドトールコーヒー創業者である鳥羽博道氏、ドトール・日レスホールディングス取締役の鳥羽豊氏が個人の大株主として名を連ね、その他、金融機関等が株式を大量保有している。

有価証券報告書より作成)

【M&A戦略】経営統合後の伸び悩みを打開すべく、M&Aによって事業領域を拡大

ドトール・日レスホールディングスは2007年10月の経営統合以降、有機野菜の宅配業(らでぃっしゅぼーや株式会社)、ベーカリー(株式会社サンメリー)、カフェ(ユニマットキャラバン株式会社)などの飲食関連業との資本提携・買収に積極的に取り組んできた。

積極的なM&Aの背景には、2007年の経営統合以降の伸び悩みがある。その認識は同社にもあり、2011年2月期〜2013年2月期の中期経営計画の「経営統合後2年半の振返り」のなかで、「グループの方向性や課題に対する対応は一定の結果を見せたが、既存事業が想定を下回る」ことになったと表現している。

既存事業とは、主力の「ドトールコーヒーショップ」や「洋麺屋五右衛門」である。その打開に向けて、同社は2011年当時、既存事業の再強化策を打ち出す。ドトールコーヒーでは「Tポイントカードによる販促の推進」「ドトールコーヒーショップ初のモーニングセットの販売」を挙げ、日本レストランシステムでは、「単価を下げたランチ限定メニューの投入」や「ドリンク券、サービス券の配布」を挙げていた。

そうした既存事業の再強化策と並行して事業拡大策として掲げたのが積極的なM&Aや海外展開による事業領域の拡大である。それも「単なる売上や利益の上乗せではなく、グループ・シナジー(相乗効果)が見込める拡大戦略を図る」としている(2011年2月期〜2013年2月期の中期経営計画より)。

実際のM&Aの件数自体は決して多くはないものの、2009年には株式会社サンメリー(パン・菓子・惣菜の製造販売)の発行済株式100%を2億7500万円で取得し、連結子会社化した。2010年にはユニマットグループのユニマットキャラバン株式会社から、高級カフェ「カフェミラル」23店舗とパリのティーサロンをイメージした「ニナスカフェ」11店舗、株式会社ユニマットクリエイティブが展開するカフェ・レストラン「オーバカナル」8店舗を買収。ドトールコーヒーの「飲」、日本レストランシステムの「食」双方のノウハウを活かし、事業領域の拡大と新規事業の創出に取り組んでいる。

さらに、2014年以降はグローバル展開において、マレーシアのコングロマリット企業と合弁会社を設立した。そうした事業シナジー(アライアンス=恊働による相乗効果)が、確実に業績に反映している。

ドトール・日レスホールディングスのM&A

年月 内容
2007年10月 株式会社ドトール・日レスホールディングス設立。
2007年12月 らでぃっしゅぼーや株式会社(有機野菜の宅配業)と資本業務提携。約21%出資。
2008年8月 D&Nコンフェクショナリー株式会社設立。グループ傘下の株式会社マドレーヌ・コンフェクショナリーと日本レストランコンフェクショナリー株式会社を経営統合。
2008年12月 D&Nカフェレストラン株式会社設立。
2009年10月 株式会社サンメリー(パン・菓子・惣菜の製造販売)の発行済株式100%を275百万で取得し、連結子会社化。
2010年5月 ユニマットグループのユニマットキャラバンから、高級カフェ「カフェミラル」23店舗とパリのティーサロンをイメージした「ニナスカフェ」11店舗、ユニマットクリエイティブが展開するカフェ・レストラン「オーバカナル」8店舗も買収。
2011年8月 D&Nインターナショナル株式会社設立。
2014年11月 D&Nインターナショナル株式会社とマレーシアのコングロマリット企業であるTexchem Resources Berhad(本社:マレーシア)との業務提携に関し、両社間で合弁契約を締結
2015年4月 D&Nインターナショナル株式会社とTexchem Resources Berhadとの合弁会社の設立手続きが完了。商号はD&N COFFEE AND RESTAURANT MALAYSIA SDN. BHD.。出資比率は6:4
2015年12月 株式会社プレミアムコーヒー&ティー、連結子会社化

(M&A Online編集部作成)