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M&A 巧者の日本電産が思わぬ損失を被ったエンブラコ買収の舞台裏とは

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コンプレッサーは冷蔵庫に欠かせない主要部品

日本電産<6594>はコンプレッサーメーカー・エンブラコの買収に伴い、欧州委員会から、やはりコンプレッサー事業であるセコップの売却を求められ、売り先企業や売却条件などについて、厳しい指摘を受けたことから198億円もの損失が発生したことを明らかにした。 

日本電産ではセコップの売却で100億円以上の利益を見込んでいたため、その差は300億円にも達する。一体何があったのか。 

売却企業の将来の投資資金を負担  

永守重信日本電産会長は欧州委員会とのやり取りを「競争法の関連でこれほど介入していいのかと思うほどの介入があった」と声を荒げた。 

その内容はまずは売り先企業について「ここに売ってはダメ、ここは良いといった介入があった。さらに今後5年間にセコップに対して投資しようと考えていた額をすべて日本電産が持つように求められた」という。 

こうしたやり取りで時間が経過し、米国では早い段階でエンブラコの買収が認可されていたため、再申請しなければならないような事態が迫ったほか、エンブラコの親会社である米国の家電大手ワールプールからは「もっと早くクローズする予定なのにこんなに伸ばしているのは、セコップを売らないから」との理由で訴訟を起こされた。 

「信じがたいおかしな裁定であると思ったが、私はビジネスマンなので収益を上げることを最優先し、裁定条件をすべて飲む決断をした」という。  

さらに「長年M&Aをやってきており、独禁法についても慎重にやってきた。今回のエンブラコも買収前に非常に深い調査をやって、問題ないと専門家から結論をもらっていた。現に欧州委員会以外のところは、2-3カ月でOKになっている」と悔しさものぞかせた。 

日本電産に対する危機感が背景に

欧州委員会は「日本電産は強すぎる。どんどんシェアをとって最後は値段を上げるだろうと言っていた」と、日本電産に対する危機感があったことも披露した。 

日本電産では198億円の損失計上で2020年3月期第1四半期の最終利益は前年度比90.7%の減益となるが「通期では穴埋めする。きっちりと取り戻す」とし、2020年3月期の当期利益の見通し1350億円は変更しなかった。 

2019年3月にワールプールから起こされた裁判については、2019年4月にニューヨーク南部地方裁判所がワールプールの主張を退け、訴訟を却下する決定を下した。 

またセコップについては、2019年4月に独投資ファンドのオーランドへの売却が決まった。この結果、欧州委員会が2019年6月26日にエンブラコ買収を認可したことから、2019年7月2日にエンブラコの買収が実現した。

文:M&A Online編集部

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