ヤフー<4689>とプラスは7月24日に、アスクル<2678>が2019年8月2日に開催を予定している株主総会で、アスクルの岩田彰一郎代表取締役社長の取締役再任に反対の議決権を行使した。

アスクル株式についてはヤフーが約45%、プラスが約11%を保有しており、両社の保有割合は約56%に達するため、株主総会で岩田社長が取締役から外れることが確定的になった。

この動きを受けてアスクルは同日「両社が共同してこのような行使に及んだことは大変遺憾」「本行使は経済産業省が公表した 2019 年 6 月 28 日付『グループ・ガバナンス・システムに関する実務指針』で別章を設けて規定されている『上場子会社に関するガバナンスの在り方』にも反する」とのコメントを発表した。

アスクルとはどのような企業なのか。岩田彰一郎社長とはどのような人物なのか。

業績は回復するものの低い利益率

アスクルは1993年に、オフィス用品の製造販売を手がけるプラスの一事業であるアスクル事業部としてスタートした。1997年3月にインターネットによる受注を開始し、同年5月にプラスからアスクル事業の営業を譲受け、アスクル株式会社として独立。2000年にはJASDAQ市場に上場した。

ヤフーとの関係は2012年に始まった。個人向けインターネット通販事業ロハコの立上げのため、ヤフーと業務資本提携契約を結び、ヤフーがアスクル株式の42.47%(現在は45%)を保有する筆頭株主になった。

その後、事業は順調に拡大したが、2017年2月に大型倉庫であるアスクルロジパーク首都圏(埼玉県三芳町)で火災が発生。アスクルとロハコの両事業に大きな支障が出た。それも2017年4月にはロハコ専用物流センターであるアスクルバリューセンター日高(埼玉県日高市)が立ち上がり、出荷能力や商品数は回復していた。

こうした取り組みは決算数字にも表れており、2018年5月期と2019年5月期に、営業利益が半分ほどに落ち込んだものの、2020年5月期には火災前の2016年5月期の営業利益85億1700万円を3億円ほど上回る88億円の営業利益を見込む。

これら数字はヤフーが岩田社長の取締役再任に反対する理由の一つとして挙げた「低迷する業績の早期回復」や、プラスが反対理由として挙げた「業績低迷の責任」は当たっていないように見える。

ただ、利益率で見るとアスクルの2020年5月期の営業利益率は2.2%であり、ヤフーの営業利益率(2019年3月期14.7%、2018年3月期20.7%、2017年3月期22.5%)に比べると低いのは確かだ。

アスクルの売上高推移。縦軸は売上高(億円)、横軸は決算期=15は2015年5月期
アスクルの営業利益推移。縦軸は営業利益(億円)、横軸は決算期=15は2015年5月期