アニメや音楽、ゲームなどのエンターテイメント業界でも1年を通じて活発なM&Aが繰り広げられた。話題のM&Aを10件厳選し 、エンタメ業界の2019年を振り返る。

ソニー、子どもアニメ制作の米社を買収

大型案件が最も目立ったジャンルといえば、やはりアニメ関連。ソニーは12月半ば、米子会社を通じて、子ども向けアニメ制作会社の米シルバーゲート・メディアを買収したと発表した。人気アニメ「すすめ!オクトノーツ」の権利を保有する会社の49%の持ち分や、「ピーターラビット」テレビシリーズを制作する会社の31%の持ち分を含む内容で、買収金額は約213億円。子ども向けコンテンツ事業の強化を目指す。

電子書籍取次大手のメディアドゥホールディングスは3月、DeNA傘下でアニメ・マンガのコミュニティーサイト「MyAnimeList」を運営する米企業を買収した。「MyAnimeList」は日本のアニメ・マンガに関する情報や口コミ、ランキングなどが20万件以上掲載され、英語圏を中心に200カ国に月間1000万人を超えるユーザーを持つ。有力メディアを獲得し、日本の様々なコンテンツを全世界に発信する。

朝日放送グループホールディングスは5月末、「秘密結社鷹の爪」などで知られるアニメ制作会社のディー・エル・イー(DLE、東証1部)を子会社化した。第三者割当増資を28億円強で引き受け、約52%の株式を取得した。DLEは映像コンテンツのほか、ファッションイベント「TOKYO GIRLS COLLECTION」の展開でも知られる。一方、DLEは業績落ち込みに加え、アニメ制作をめぐる不正会計問題が発覚し、信頼回復が急務となっていた。

バンダイナムコ、「ガンダム」版権管理の創通にTOB

今年のエンタメ業界で、買収金額が最大だったのはアニメ番組の企画・制作や版権管理を手がける創通(ジャスダック上場)をTOB株式公開買い付け)で子会社化したバンダイナムコホールディングスの案件。約350億円を投じた。バンダイが展開する「機動戦士ガンダム」シリーズで創通が版権管理を受け持つなど両社は緊密な関係にある。

創通はプロ野球・読売巨人軍の専属代理店としてスタートし、球団グッズの企画・販売や版権管理などを手がけ、その後、アニメ分野に事業を拡大した。バンダイは2000年に「ガンダム」シリーズでの連携強化を目的に創通株式の20%超を取得し、以来、持ち分法適用関連会社としてきた。世界規模の競争激化などエンターテイメント市場を取り巻く環境変化に的確に対応するとして子会社化に踏み切った。

「女子プロレス」に参入したブシロード

人気の女子プロレス団体「スターダム」を12月1日付で傘下に収めたのはトレーディングカードゲームで知られるブシロード。ブシロードは国内最大の男子プロレス団体「新日本プロレス」を2012年に買収した。近年、キックボクシングの興行にも乗り出しているが、新たに女子プロの有力団体を取り込み、格闘技系を中心にスポーツ事業を拡大する。

女子プロレス「スターダム」を傘下に収めたブシロード…子会社の新日本プロレス「闘魂ショップ」(東京・水道橋)