社名そのものが有力ブランドになっている会社は少なくない。ところが、その社名の意味や由来については意外と知られていない。今回はカタカナ・ローマ字の会社を取り上げる。

男性化粧品といえば…

まず初めに、下記のように出題すると。表の左側の欄は創業当時の社名。今日誰もがその名を知る著名企業ばかりだが、現在の社名をいくつ答えられるだろうか。事業内容から、ピンと来るかもしれない。

創業時の社名事業内容現社名
黒田表紙店(1905年)文具
金鶴香水(1927年)男性用化粧品
和江商事(1946年)女性下着
山梨シルクセンター(1960年)キャラクター商品
大学翻訳センター(1972年)通販化粧品
健康コーポレーション(2003年)フィットネスクラブ

表中、最も業歴が浅い健康コーポレーションは今をときめくRIZAP(ライザップ)グループの前身。「結果にコミットする」のテレビCMで一躍有名になったが、もともとは2003年に健康食品の通信販売を目的にスタートした。

RIZAPは「RISE」(立ち上がるなどの意味)と「UP」という言葉を掛け合わせた。“どん底の状態からでも、その人が望む限り、必ず高く飛躍できる”という想いを込めている。

同社は積極的なM&Aでも知られ、美容・健康、アパレル関連などを中心に上場子会社だけで9社を数える。ただ、現在はM&Aを封印中。

男性化粧品といえば、マンダム。その創業時(1927年)の社名が金鶴香水。スチック状の固形整髪料「丹頂チック」は1933年に発売以来、今も愛用されるロングセラー商品。戦後は一時期、「丹頂」に社名を変えたほどだ。

マンダムはman(男)とdomain(領域)を掛け合わせた「mandom(男の領域)」、つまり「男の世界」を表す。そのマンダムの名前は1970年、ハリウッド俳優チャールズ・ブロンソンを起用したCMで瞬く間に茶の間に浸透した。「うーん、マンダム」のセリフは流行語になった。翌71年に、丹頂を改め、満を持してマンダムに社名を変更した。

付け加えると、マンダムはメークアップやスキンケアなど女性用化粧品も扱い、売り上げの3割近くを占める。1984年の女性市場参入に際し、マンダムに「Human & Freedom」の意味を込めたという。

「大学翻訳センター」が化粧品に進出

東京・吉祥寺の直営店

通販化粧品大手のDHC(ディーエイチシー)は「大学翻訳センター」の頭文字からとったもの。創業者の吉田嘉明氏(現会長)が同志社大学卒業後の1972年、大学の研究室向けに翻訳業務サービスの会社を立ち上げた。その後、1980年に天然成分にこだわった基礎化粧品の製造に進出し、通販主体に業績を伸ばした。

健康食品、ダイエット、ファッション分野などに展開し、通販会員数は1478万人(8月1日現在)。直営店も充実させている。

「ハローキティ」をはじめキャラクター商品で知られるサンリオ。もともとは「山梨シルクセンター」。山梨県出身の辻信太郎氏(現社長)が1960年に都内に絹製品を扱う会社を設立したのが始まりで、62年にイチゴ柄のギフト商品を売り出し、これがキャラクターグッズに本格進出するきっかけとなった。

1973年にサンリオに社名を変え、翌74年に「ハローキティ」を世に送り出した。サンリオとはスペイン語で「聖なる河(SanRio)」を意味する。元の社名をなぞって、サン(山)、リ(梨)、オ(王)に引っ掛けたされる俗説もある。

黒田表紙店として1905年にスタートしたのは総合文具首位のコクヨ。帳簿の製造を主力にしていた創業初期に定めた商標「国誉」に由来し、1961年から社名に用いている。コクヨ商品のなかでも、「Campus」ブランドのノートは老若男女を問わず誰もがお世話になっているはず。

コクヨは今年5月、筆記具大手のぺんてる(東京都中央区)に対し、投資ファンド経由で4割近く間接出資して実質的に筆頭株主になった。事前通告がなかったことに、ぺんてるは反発しており、業務提携を目指すコクヨとの関係改善が注目されている。

ワコール、ソニーに先駆けてブランドと社名を統一

女性用下着の代名詞といえば、ワコール。その前身が1946年に京都に発足した和江商事。アクセサリーの販売を目的に立ち上げたが、その後、ブラジャー製造で飛躍のチャンスをつかんだ。クローバー印に商標を改定する際、和江商事の“和江”を留めるという意味の和江留という漢字から英語風の「ワコール」という言葉を作り出したという。

1957年に社名もブランド名と同じワコール(現ワコールホールディングス)に統一した。この翌年、東京通信工業がブランド名の「ソニー」に社名を変更しており、ワコールはCI(コーポレートアイデンティティー)導入のはしりでもあった。

文:M&A Online編集部