業績不振に陥っている大手書店、文教堂グループホールディングス(HD)に上場猶予期間の8月末が目前まで迫っている。事業再生ADR(裁判外紛争処理解決手続き)に基づく再生計画案が成立すれば、上場廃止の猶予期間が2020年8月末まで1年延長される。ただ、先週末(9日)に開かれた第2回債権者会議は予定していた内容にまで踏み込めず、進捗の遅れが否めない。

来月6日に「続会」開催へ

文教堂HDは6月28日に、事業再生ADRを第三者機関の事業再生実務家協会(東京都港区)に申請し、即日受理された。事業再生ADRは私的整理の一種で、民事再生法などの法的整理に比べて早期再建が可能とされる。

文教堂HDは2018年8月期決算で約2億3000万円の債務超過に転落した。本来なら、1年後の19年8月期末までに債務超過を解消できないと上場廃止となるルール。だが、今回のADRを通じた再生計画案が金融機関の同意を得て成立すれば、1年間、猶予期間の延長が認められ、上場を維持したまま再建に取り組める。

問題は1年後の20年8月期までに債務超過を解消できる再建計画案を策定できるどうか。

一つは債務免除の実行による財務負担の軽減。そのカット幅に関して、みずほ銀行、三井住友銀行、横浜銀行、三井住友信託銀行、商工中金、静岡銀行の各取引金融機関がどこまで足並みをそろえることができるか。有利子負債は約140億円(18年8月期末)にのぼる。

もう一つは資本増強。筆頭株主で、出版取次最大手の日本出版販売(出資比率約28%)、第2位の大株主である大日本印刷(同約23%)が増資を引き受けるのかが焦点とみられている。

第1回債権者会議は7月12日に開き、9月末(27日)の第3回債権者会議で再生計画案の決議・成立を目指すことを確認した。

ヤマ場の第2回債権者会議は8月9日に開催。ところが、再生計画案の策定が開催日直前のぎりぎりのタイミングだったことから、再生計画案について事業再生実務家協会が十分に吟味する時間がなく、調査報告書の形で説明が行えなかったという。このため、9月6日に改めて第2回債権者会議を「続会」の形で開催し、再生計画案を協議することになったのだ。

足元は減収続き、赤字幅も拡大

足元の業績はどうか。2019年8月期第3四半期(18年9月~19年5月)は売上高190億円(前年同期比9.8%減)、営業損失3億5100万円(前年同期は7500万円の損失)、当期損失5億1300万円(同1億7900万円の損失)。書籍・雑誌、コミック類の販売低迷に加え、不採算店の閉店(約20店舗)などによるリストラ費用で赤字幅が拡大。債務超過額も7億3500万円まで膨らんでいる。

文教堂HDは本社移転や都内にある社宅の売却などに取り組んできた。8月28日に開く臨時株主総会では約20億3500万円の資本金を1億円に減資することを諮る。減資によって累積赤字を補填する狙いだ。

9月末に再生計画案成立を期す

9月末に再生計画案の成立に向けたスケジュールは変更していない。この線が崩れれば、上場猶予への望みは遠のくことになる。

文教堂HDは1949年に川崎市で、「島崎文教堂」として発足。東京、神奈川県など首都圏を中心に店舗を増やした。1993年に文教堂に社名を変更し、1994年に店頭登録(現ジャスダック)。2008年に持ち株会社制に移行した。現在、約130店舗。昨年11月に、創業家出身の嶋崎富士雄社長が退任した。

◎文教堂ホールディングスをめぐる最近の動き

2018年 
10/122018年8月期決算を発表。債務超過に転落
11/27創業家出身の嶋崎富士雄社長が退任し、佐藤協治常務が社長に就任
11/30東証から、上場廃止にかかる猶予期間入り銘柄に指定される
2019年 
6/28事業再生ADRを事業再生実務家協会に申請し、受理される
7/12第1回債権者会議
8/8本社ビルの売却に伴い、本社を移転(川崎市内)
8/9第2回債権者会議。協議が不十分で、「続会」の開催へ
8/28臨時株主総会を開催、減資を諮る
9/6第2回債権者会議の「続会」
9/27第3回債権者会議で事業再生案の決議(成立)を予定

文:M&A Online編集部