旅行大手エイチ・アイ・エス(HIS)から敵対的TOB株式公開買い付け)を仕掛けられている不動産・ホテル業のユニゾホールディングスに対し、「ホワイトナイト白馬の騎士)」が出現する可能性が急浮上している。ユニゾはお盆前の3連休中の11日、複数の候補者からより良い条件の買収提案を受ける可能性があると発表した。

ユニゾ株、年初来最高値

13日のユニゾ株は一時3755円の年初来最高値をつけ、終値も前営業日比320円高の3720円に上伸した。

HISによるユニゾ株のTOB価格は3100円。これに対し、ユニゾ株はHISが7月11日にTOBを開始直後から、TOB価格を上回る高値圏で推移。多くの株主にとっては市場売却した方が有利なため、TOB期間の8月23日までに予定数の株式を買い付けることが困難視されてきた。そうした中、一段高を促す材料が投入された格好だ。

ホワイトナイトとは敵対的買収者に対抗し、友好的な第三者として名乗りを上げた買収者を意味する。ユニゾは6日、HISのTOBに反対を表明し、敵対的TOBが確定した。

今回のユニゾの発表では、具体的な買収提案の有無などについて明らかにしてないものの、提案を受けた場合には7月に設置した特別委員会に諮問し、その答申を踏まえて意思決定するとしている。

また13日には、米投資会社エリオット・マネジメントがユニゾ株を1.07%買い増して所有割合を8.78%に高めたことが分かった。エリオットによるユニゾ株の新規保有(5.51%)が判明したのは6日だが、その後、8,9,13日と3営業日連続で1%以上の変更報告書を関東財務局に提出。「モノ言う株主」として知られる同社が現時点で事実上の筆頭株主に躍り出た形だか、ホワイトナイトとしては考えくい。

HISはTOBを通じて現在4.79%のユニゾ株の所有割合を45%に高める計画。買付金額は426億円強に上る。これに対抗するためには、当然ながら、資金的にも相当高いハードルが待ち構えている。

みずほ系列の不動産会社が候補か?

そうした中、候補として取りざたされているのが、ユニゾと同じみずほグループ内の系列不動産会社だ。みずほグループには旧富士銀行系のヒューリック、旧第一勧業銀行系の日本土地建物、旧日本興業銀行系の日鉄興和不動産などを抱える。

ユニゾは旧興銀系の常和興産を前身とし、現社長の小崎哲資氏は旧興銀出身(みずほ銀行副頭取、みずほフィナンシャルグループ副社長などを歴任)。ただ、同社は興和不動産と新日鉄都市開発の統合会社(2012年に合併)だけに、日本製鉄側の同意が何事にも必要となる。

近年、ホテル事業で攻勢を強めている点でクローズアップされるのは旧富士系のヒューリックだ。9月1日付で、浅草ビューホテルなど20ホテルを運営する日本ビューホテルを傘下に収める。後発ながらホテル事業を、オフィスビル事業に次ぐ柱に育成する方針を打ち出している。全国に25棟のビジネスホテルを展開するユニゾを取り込めば、ホテル事業の勢力を一気に拡大できる。

目下、HISが予定数のユニゾ株を買い付けることは難しい状況。ただ、23日のTOB期間(延長可能)までに新たな買収者がホワイトナイトとして名乗りを上げれば、HISがTOB価格を引き上げて迎え撃つことが考えられる。そうなれば、ユニゾをめぐるTOB第2ラウンドのゴングが鳴ることになる。

ホワイトナイトの富士通が敗北した例も

敵対的TOBに際し、ホワイトナイトが登場したケースは数少ない。2017年に、システム開発のソレキア(当時ジャスダック上場)に対して投資家の佐々木ペジ氏(フリージア・マクロス会長)が行った敵対的TOBでは、TOB価格つり上げの攻防戦の末、ホワイトナイト側の富士通が敗北を喫した。

古くは2006年、弁当・総菜大手のオリジン東秀に対するドン・キホーテの敵対的TOBで、イオンがホワイトナイトとして勝利し、オリジン東秀を傘下に収めた例がある。

文:M&A Online編集部