M&A 巧者の日本電産が思わぬ損失を被ったエンブラコ買収の舞台裏とは
日本電産はエンブラコの買収に伴い、欧州委員会からセコップの売却を求められ、売り先企業や売却条件などについて、厳しい指摘を受けたことから198億円もの損失が発生したことを明らかにした。
公開日付:2019.07.19
事業再生ADR手続による再建計画案を策定中の曙ブレーキ工業(株)(TSR企業コード:290001102、東証1部)は7月18日、第三者割当による種類株式の発行で、総額200億円を資金調達すると発表した。
割当先は投資会社のジャパン・インダストリアル・ソリューションズ(株)(TSR企業コード:298439220、以下JIS)が組成するファンド。JISは日本政策投資銀行、みずほ銀行、三井住友銀行、三菱UFJ銀行の4行が14.9%ずつを出資、残り40.4%の株式をJIS経営陣が保有している。 払込期間は2019年9月30日から12月31日で、調達する200億円の使途は、構造改革資金(日本:約53億円、米国:約69億円、欧州:約25億円)のほか、設備投資資金(約50億円)に充てる予定。
今回発行される種類株式に議決権はなく、2022年6月30日まで普通株式の取得請求権を行使できない「転換制限」が付いている。このため当面はトヨタ自動車(11.62%)を筆頭株主とする曙ブレーキ工業の現株主構成に変化はない。ただ、JIS側との遵守事項として社外取締役や出向者などの人材受け入れ項目が盛り込まれている。
曙ブレーキ工業は、再建計画の策定のなかで、スポンサー候補として40社を超える事業会社や投資家に出資検討を依頼。デューディリジェンスを経て、最終的にJISをスポンサーに選定した。 一方、懸案となっている金融債務は「取引金融機関に相当規模の債務免除による金融支援を含む事業再生計画案への同意を要請する予定」と正式に発表した。
曙ブレーキ工業の2019年3月末時点の金融債務(連結)は約1,057億円。債務免除は、その半分程度の500億円規模を要請するとの一部報道も出ている。 曙ブレーキ工業の広報担当者は、東京商工リサーチの取材に対し「現時点では具体的な金額は公表できないが、相応の額ということでとらえてほしい。スポンサー決定と債務免除の要請を次回7月22日に予定されている債権者会議の議題とし、再建計画の成立を目指す」とコメントした。
また同日、2020年3月期第1四半期で、過去に製造したパーキングブレーキの品質問題に起因する負担額を特別損失として78億円計上することを発表。負担額は自動車メーカー間で最終合意しており、これ以上の特損計上は見込んでいない。ただし、ADR手続の再建計画案を策定中のため、今期の通期業績予想は引き続き公表を見送った。
スポンサー決定や金融機関への債務免除要請など、より具体的な再建計画が表面化してきた曙ブレーキ工業の事業再生ADR。最終決議となる9月18日予定の債権者会議で金融機関の全行合意を取り付けることができるか、再建への道筋は正念場を迎えている。
日本電産はエンブラコの買収に伴い、欧州委員会からセコップの売却を求められ、売り先企業や売却条件などについて、厳しい指摘を受けたことから198億円もの損失が発生したことを明らかにした。
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