ホテル事業やオフィス賃貸事業を手がけるユニゾホールディングスは6日、旅行大手のエイチ・アイ・エス(HIS)が7月11日から実施中のユニゾへのTOB株式公開買い付け)に反対するとの意見を表明した。これにより、敵対的TOBが確定した。

「相乗効果が期待できない」

HISがTOB後に求めている業務提携について「シナジー(相乗効果)の創出は期待できない」と結論づけた。敵対的TOBは伊藤忠商事による対デサントに次ぐ今年2件目だ。

HISは資本関係強化を通じて観光事業とホテル事業など協業促進を目指しているが、同日、「TOBの意義が理解、賛同いただけなかったことは誠に遺憾」とするコメントを発表した。

ユニゾは株主に対し、TOBに応募しないよう呼びかけるとともに、すでに応募した株主には速やかに契約の解除を要請している。

ユニゾ株高値で推移、HISは局面転回に出るか

ただ、6日のユニゾ株価の終値は前日比5円高の3560円と、TOB価格の3100円を400円以上上回り、既存株主の多くにとってはTOBに応募にするよりも市場で売却した方が有利な状況。HISはTOBで現在4.79%の所有割合を45%まで高める計画だが、ユニゾ株価がこのまま高値圏で推移すれば、8月23日のTOB期間までに予定数の株式を買い付けることは困難とみられる。

HISが局面転回を図る手立てとして考えられるのはTOBの条件変更。つまりTOB価格の引き上げだ。その場合、買付代金は現在の426億円から相応に膨らむため、ひとまずTOB期間を延長し、時間を稼ぐ手もあり得る。

ユニゾは7月23日、HISによるTOBについて意見を「留保」したうえで、HISに質問状を提出。HISからの回答内容を踏まえ、ユニゾは賛否の意見を最終的に決定するとしていた。6日開いた取締役会は全員一致で反対表明を決議した。出席監査役からも異議はなかったという。

ユニゾはオフィスビルなど賃貸用不動産を国内68棟、米国11棟保有するほか、ビジネスホテルの「ホテルユニゾ」「ユニゾイン」「ユニゾインエクスプレス」を国内に25棟(5797室。別に計画中8棟)展開する。全売上高のうちホテル事業の比率は約23%。

TOBに反対した理由は、①業務提携(HISが想定)によるシナジーの創出は期待できない、②企業価値を毀損するおそれがある、③TOB価格が企業価値に照らして不十分、④TOBは買付予定数の上限を付した強圧的な手法によるもので、一般株主に対しHISの経営リスクを負わせることになる、⑤事前の通知・連絡もないままTOBが公表され、HISとの間で信頼関係がないーの5点を挙げた。

米エリオットの思惑は?

こうした中、6日、米投資ファンドのエリオット・マネジメントがユニゾ株の5.51%を新規保有したことが明らかになった。保有目的は「投資」で、「状況に応じ、建設的な対話(エンゲージメント)や助言、重要提案行為などを行う可能性もある」としている。

エリオットといえば、2017年に米投資ファンド大手のコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)が半導体製造装置大手の日立国際電気に対するTOB価格を2度にわたって引き上げた際に、日立国際電気株を大量取得したことが記憶に新しい。

今回、敵対的TOBに発展したHIS・ユニゾ攻防戦でも、エリオットがかく乱要因となる可能性がある。ユニゾ株を買い増すのかどうか、その辺が当面の注目点となりそうだ。

文:M&A Online編集部