アスクル<2678>は2019年8月2日に開催した株主総会の取締役選任議案について、ヤフー<4689>とプラス(共同保有者分を含む)の議決権行使を除いた賛成割合を公表した。

それによると元アスクル社長の岩田彰一郎氏の賛成割合は75.74%、元独立社外取締役の戸田一雄氏は95.58%、宮田秀明氏は94.65%、斉藤惇氏は93.19%だった。

アスクルではこの結果から「戸田氏、宮田氏、斉藤氏の賛成割合はいずれも9 割を超えており、 少数株主から圧倒的な支持を得ていた」としたうえで「今回のヤフー、プラスの行った一連の行為は、少数株主の意思と合致しているものとは到底言えない」と、両社の行動を改めて非難した。

さらにアスクルでは少数株主の利益保護や上場企業としての独立性の確保などの観点から「新たな独立社外取締役の選定プロセスについて、取締役会などでの議論の内容を公表していく」としている。

ヤフー、プラスに反旗を翻したアスクルの少数株主とはどのような人たちなのだろうか。

問われるヤフーの判断

少数株主とは親会社以外の株主のことで、アスクルの場合はヤフーが保有する約45%以外の株主がこれに当たる。ヤフーと共同歩調を取ったプラスはアスクル株の約11%を保有しており、さらに保有割合が5%未満とみられる資産運用会社のレオス・キャピタルワークスも岩田氏の取締役再任に反対の意向だったため、これらを除く40%ほどの株主がアスクルがいう少数株主となる。

M&A Onlineの大量保有データーベースによると、アスクル株については、野村證券が4.25%(2012年5月31日時点)、三菱UFJフィナンシャル・グループが4.67%(2014年8月25日時点)、オッペンハイマーファンズ・インクが4.64%(2019年1月22日時点)を保有していた。

こうした少数株主の多くがヤフー、プラスの意向に反し、岩田氏、戸田氏、宮田氏、斉藤氏の取締役選任に賛成票を投じたことになる。その割合は独立社外取締役候補の戸田氏、宮田氏、斉藤氏については93%-95%に達した。一方、長年アスクルの経営に携わってきた岩田氏については少数株主の4分の1は、岩田氏の経営能力に疑問を投げかけたヤフー、プラスに賛同し、取締役選任に反対した計算になる。

この数字からは「機関投資家から一般の株主まで、多くの応援が届いている」としていた7月29日のアスクルのプレスリリースの内容が正確だったことが分かる。

ヤフーはアスクルの少数株主の利益に十分配慮するとしており、今回の高い賛成割合をどのように考えるのか。また今回の騒動の原因となった個人向け通販事業ロハコについては、どのような戦略を打ち出していくのか。ヤフーの判断が問われている。

【取締役選任議案の賛成割合】※賛成割合1はヤフーとプラスの議決権行使を含めた数値、賛成割合2はヤフーとプラスの議決権行使を除いた数値(アスクルのプレスリリースから作成)。

取締役候補者賛成割合1(%)賛成割合2(%)
1 岩田彰一郎氏 20.80 75.74
2 吉田仁氏 99.14 96.87
3 吉岡晃氏 99.15 96.89
4 輿水宏哲氏 96.90 88.70
5 木村美代子氏 99.14 96.85
6 戸田一雄氏 26.25 95.58
7 今泉公二氏 91.37 68.58
8 小澤隆生氏 91.35 68.52
9 宮田秀明氏 26.00 94.65
10 斉藤惇氏 25.60 93.19

文:M&A Online編集部