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【ビックカメラ】再編が続く家電量販店業界で「M&A巧者」への転換なるか?

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【財務分析】物流拠点の統合により営業利益率の改善を進める

 2012年8月期を除くと、売上総利益率、営業利益率は概ね改善傾向にあることがわかる。2012年8月期の低落は、アナログ放送からデジタル放送への移行に伴うデジタルテレビ需要等が一段落したことに起因している。

 特筆すべきは、コジマを買収した後の決算に当たる2013年8月期に売上総利益率、営業利益率ともに改善している点である。短期的な目線では、まずまずの結果を残したと言える。現在も利益率の改善のために、2016年10月時点で17か所ある拠点を1年間で9か所にまで集約する物流拠点の統合を打ち出しており、今後も販管費率が下がり営業利益率が改善することが予測される。

ビックカメラの売上高・利益率の推移

(単位:億円) 2009/8 2010/8 2011/8 2012/8 2013/8 2014/8 2015/8 2016/8
ビックカメラ 4,655 4,947 4,959 3,986 4,037 4,455 4,448 4,266
ソフマップ等 1,236 1,135 1,161 1,194 800 1,221 1,243 1,261
コジマ         2,817 2,622 2,261 2,262
5,891 6,082 6,120 5,180 7,654 8,298 7,952 7,789

 次に、セグメント別の売上推移を見てみよう。セグメント情報は、2009年に発覚した虚偽記載の影響を排除するため、2009年8月期以降の数値を採用している。また、上記のセグメントは有価証券報告書上で公表されているセグメントとは異なる点にご留意いただきたい。

 2013年8月期は、コジマ買収による効果が大きく、既存事業はむしろ減少傾向にあることが読み取れる。これは不採算店舗の撤退によるもので、利益率は改善している。そのため、積極的な施策とも言える。しかしながら、直近3年間の傾向から、現在の利益率を維持したまま規模を拡大することは難しいことも読み取れる。その意味では、ジリ貧になっていると言うことができる。


ビックカメラのセグメント別売上高

  2007/8 2008/8 2009/8 2010/8 2011/8 2012/8 2013/8 2014/8 2015/8 2016/8
売上高 565,751 630,740 589,177 608,274 612,114 518,057 805,378 829,833 795,368 779,081
売上総利益率 23.6 23.5 24.2 24.7 25.6 24.2 24.8 25.6 26.4 27.1
営業利益率 3.4 2.6 1.5 2.4 3.3 0.8 1.6 2.3 2.4 2.8

【株価】長期的に見ると、概ね安定傾向に

 ビックカメラの株価は日経平均と概ね連動し、一進一退を繰り返すものの、長期的に見ると安定傾向にあると言うことができる。なお、直近では2017年4月19日から同社が首都圏のネット通販で配達時間を延長するという報道を受け、20日から4日続いて大幅高で取引された。

株価推移グラフ

【まとめ】独自の商品・サービスでの差別化や他分野との複合化でのM&Aが課題

 ビックカメラの本業である家電量販店事業は、消費者動向がリアルからインターネットへ移行しつつある影響もあり、厳しい状況が続くことが予想される。

 EC事業にも注力を始めているが、先行者であるamazonや楽天の壁は高く、EC上でも厳しい価格競争にさらされることになる。そのような中、独自商品やサービス(例えば宅配サービス、ポイントサービスなど)での差別化や、他分野との複合化(例えばリフォームサービスと家電製品をセット販売するなど)が生き残りの選択肢として挙げられる。

 時代の流れがますます早くなっていることもあり、自社独自での事業の立ち上げにも限界がある。そのため、今後は上記のような切り口からM&Aが行われることになるのではないだろうか。

 同業のヤマダ電機はハウスメーカーのエスバイエルを、ノジマはキャリアショップを運営するIT系商社のITXをそれぞれ買収して多角化を進めている。これまでのビックカメラは「M&A巧者」とは言いがたく、競合他社に出遅れた感はあるが、本業が利益を出している今こそM&Aを仕掛けなければならない時でもある。

この記事は、企業の有価証券報告書などの開示資料、また新聞報道を基に、専門家の見解によってまとめたものです。

文:M&A Online編集部

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