トヨタの豊田章男社長、衆院選投票前日に自民党を激しく「牽制」

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あからさまな「徹底抗戦」には、政府からの「反撃」も

COP26議長国の英国は各国に石炭火力発電の全廃を強く求めているが、日本政府としては電力を安定供給するためには難しいとして抵抗する見通し。その「身代わり」として「ガソリン車販売禁止」をアピールするのは確実で、豊田社長にとっては菅前政権同様に不満がたまりそうだ。

とはいえ、豊田社長がカーボンニュートラル政策にあからさまな批判を続けた場合は、トヨタが環境保護団体からの批判のみならず、政府から手痛いしっぺ返しを食らいかねない。おりしもトヨタ系販売会社で不正車検が相次いで露見し、10月20日には国土交通省から7店舗で行政処分、4店舗で文書警告や口頭注意を受けたばかり。

さらに日本製鉄<5401>に同社の特許権を侵害した中国・宝山鋼鉄から無方向性電磁鋼板を調達したとして訴えられている。中国の知的所有権侵害は先進国共通の大問題となっている上に、政府・自民党が最優先政策の一つと位置づける「経済安全保障」のメーンターゲットだ。

こうした問題でトヨタが政府からやり玉にあげられる可能性もある。豊田社長は経団連をはじめとする財界活動には積極的に参加しておらず、政界とのパイプもそれほど太くない。思わぬ誤解や「ボタンの掛け違い」で豊田社長と政府・自民党との対立が先鋭化すれば、トヨタに大きな負担と禍根を残すだろう。

ここは腹をくくり政府・自民党に徹底抗戦していくのか、それとも「宥和策」でEVシフトを容認しつつ「ガソリン車販売禁止」先送りのための時間稼ぎをするのかを早急に決断する必要がある。ただ、EVシフトは世界的な流れだ。政府に容認する姿勢を見せれば、そう長い時間稼ぎはできないだろう。

文:M&A Online編集部

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