ついに恐れていた事態が起こった。2021年7月17日に東京・晴海の選手村に滞在する大会関係者1人が、新型コロナウイルス検査で陽性だったことが明らかになったのだ。18日には選手2名の感染が判明した。これから選手村への入村は本格化する。大会関係者や選手間で感染が拡大すれば「選手村クラスター」が発生する可能性もある。
東京五輪では、選手や関係者の宿泊先と競技会場を大きな泡で包むようにして外部と隔離する「バブル方式」を採用。政府は五輪関係者と一般市民をバブルで空間的に隔絶することにより、双方の接触を避けて「安心・安全」な大会が開催できるとしている。
しかし、すでに一部の大会関係者が選手村から勝手に外出していることも伝えられ、バブルに「穴」が空いているとの懸念が出ている。選手村がある東京都では、17日に新規コロナ感染者数が1410人と急増。バブルに穴が開けば、最大の懸念は選手・関係者から一般市民への感染ではなく、一般市民から選手・関係者への感染だ。
なぜなら選手村を中心とするバブルはウイルス感染がない「無菌」であれば強力な防壁になるが、バブル内にウイルスが入り込むと感染の連鎖を起こす「密閉空間」にもなる。日本で初めてコロナ感染の脅威を知らしめた大型クルーズ客船と同じ構造だ。
この大型クルーズ船では乗客・乗務員3711人中、2割近い712人の感染が確認されている。オリンピック・パラリンピックで選手・関係者計約10万5000人が来日する予定だ。全員が同時に選手村にいるわけではないが、一時的にでも滞在時期が重なれば全員に感染が連鎖するリスクがある。
仮に大型クルーズ船と同じ感染率だとすると、オリンピック・パラリンピック開催期間中に選手村だけで2万人を超える感染爆発が発生する計算だ。大型クルーズ船と違ってワクチン接種者という「防護壁」もあるが、「デルタ株」はワクチン接種者にも感染すると報告されている。接種者は感染しても重症化しにくいが、無症状のままウイルスを拡散するため油断はできない。
日本政府は2021年4月13日に、東京電力福島第一原子力発電所で増え続けている放射性物質のトリチウムを含む汚染水を海洋に放出する方針を決めた。トリチウムとはどのくらい危険な物資なのだろうか。