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なぜ民間シンクタンクのコロナ感染者予測は「大外れ」したのか?

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政府に報告された民間のシミュレーションをはるかに上回る感染拡大が続く(写真はイメージ)

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の第5波が、過去最大の感染者を出す「大惨事」となっている。しかし、政府が6月18日に公表した「民間の有識者等のシミュレーション」では、最悪の予測でも東京都の新規感染者数は「2797人」だったが、現実には8月5日に5042人に。なぜ、ここまで「大外れ」してしまったのか?

シミュレーションは「予言」ではない

ワクチン接種が始まったにもかかわらず、感染者数は過去最大に(写真はイメージ)

その大前提として頭に入れておくべきなのは「シミュレーションは予言ではない」ということだ。シミュレーションではこれまでの新型コロナ感染のデータをよりどころに、想定される様々な条件ごとに新規感染者数を予測していく。

「計算ではこうなったが、こんなものでは済まないだろう」という主観的な「予想」はできない。その場合、「なぜ、この予想値になるのか」を客観的かつ定量的(物事の状態や変化などを数値化して分析)に説明できないからだ。

シミュレーションで重要なのは、想定される条件のうち何が決定的な影響をもたらすのかを明らかにし、より望ましい対応をするためのガイドラインとなることだ。つまり、シミュレーションの予測をあてにしてはいけないのである。

もちろん8月初旬に新規感染者が5000人を超えたのには、客観的かつ定量的な原因がある。ただ、シミュレーションを実施した時点では、その原因に当たるデータが見えなかったということだ。こうした事態は、シミュレーションでカネに糸目をつけない金融工学の世界でもあり得る。

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