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株式市場に「忖度なし」…なぜ岸田政権で株価が下落し続けるのか

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株式市場は自民党に忖度せず?日銀の介入も不発に(Photo By Reuters)

「株式市場は忖度(そんたく)しない」。そんな構図が明らかになった。菅義偉前首相の退任表明があった9月3日に前日比584円60銭(2.05%)高の2万9128円11銭をつけた日経平均株価も、9月29日に岸田文雄氏が予想外の大差で自民党総裁に選ばれると一転して同639円67銭(2.12%)安の2万9544円29銭に下落。10月5日まで5営業日連続で値下がりしている。

菅前首相が追い詰められると株価が上昇

では、8月以降の株価の動きを見てみよう。政局絡みで株価が上昇に転じるのは8月23日から。前日の横浜市長選挙で菅前首相が強く推した小此木八郎前国家公安委員長が、立憲民主党の推薦する新人候補に18万票もの大差をつけられて敗北した翌日だ。

「お膝元」である横浜市での惨敗に、菅前首相の自民党内での求心力は急速に低下。党内に「菅首相の下で今秋の衆議院議員選挙を戦えるのか?」との疑問の声が広がった。菅前首相の自民党総裁選での苦戦も予想され、総裁選前の衆議院解散・総選挙もありうると見られていた時期だ。

菅総裁のまま衆院選に突入すれば、自民党の大敗は避けられないと見られていたが、この日の株価は同480円99銭(1.78%)高の2万7494円24銭に上昇する。本来なら自民党が大敗すると株価の下落要因となるが、そのリスクが高まったにもかかわらず株価が上昇した。これは横浜市長選での敗北を受けた、自民党内での「菅おろし」を期待した動きだろう。

自民党総裁選前後の日経平均株価

菅前首相の求心力低下を見て、横浜市長選の4日後の8月26日には岸田氏が総裁選への立候補を正式に表明する。株価は上昇したものの、それほど大きく動かなかった。同17円49銭(0.06%)高の2万7742円29銭に留まったのだ。その翌日には株価は下落に転じた。

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