中小企業庁は10月7日、新たな「M&A支援機関登録制度」に登録されたファイナンシャルアドバイザー(FA)及び仲介業者の最終結果を公表した。登録要件を満たしたのは2253件で、M&A専門業者が930件と半数近くを占めた。9月13日の初回公表(中間結果)と比べて約4.6倍もの増加で、中小M&A市場のさらなる活性化が期待される。
M&A支援機関登録制度は、中小企業庁が4月に取りまとめた「中小M&A推進計画」で2021年度の創設を明記。8月24日の運用開始に伴い、登録機関の公募も始まった。国の事業承継・引継ぎ補助金(専門家活用型)におけるM&A支援機関の活用で生じる仲介手数料などの補助は、登録を終えた機関が提供する支援のみが対象となる。
2253件のうち法人は1684件、個人事業主は569件。M&A専門業者は仲介539件、FA391件だった。この他、税理士505件、公認会計士231件で、地方銀行(75件)、信用金庫・信用組合(50件)、弁護士(38件)、M&Aプラットフォーマー(16件)などが続いた。
初回公表時の登録は493件で、第2弾の中間公表時(9月30日)は1335件と大きく伸びた。登録機関に対しては譲渡企業の資産・財務状況や買収リスクを鑑定するデューデリジェンス(DD)費用も補助対象となるため、税理士や公認会計士へのインセンティブが働いたとみられる。
一方、M&A支援業務の専従者数は「0~2人」が1548件と圧倒的に多く、全体の約98.6%(2222件)は10人以下の小規模な組織。設立年代も「2010年代」が956件で、さらに後発の「2020年代」は977件に上った。
中小企業庁は10月上・中旬をめどに、中小企業者などが登録機関を検索できるデータベースを公表する予定。登録機関の支援をめぐる問題などを抱えた企業側からの情報提供窓口も設け、制度の円滑な運用を図る。
登録機関の最終決定に合わせ、中小企業庁は10月26日まで、2021年度当初予算における事業承継・引継ぎ補助金の交付申請を受け付けている。
中小企業が安心してM&Aを活用できる基盤づくりに向けては、M&A業界の健全な発展と中小企業の保護を目指す自主規制団体が2021年度中に設立される見通し。
文:M&A Online編集部
関連リンク:
・M&A支援機関登録制度に係る登録ファイナンシャルアドバイザー及び仲介業者の最終公表について (meti.go.jp)
・登録ファイナンシャルアドバイザー及び仲介業者一覧(最終公表)(meti.go.jp)