東京オリンピック・パラリンピックの中止を求める声が高まる中、国際オリンピック委員会(IOC)幹部による「開催断行」発言が相次いでいる。東京都や日本政府の意向にかかわらず、「開催ありき」で突っ走るIOC。なぜ、そこまで頑(かたく)ななのか?
2021年5月21日、IOCのジョン・コーツ副会長は「緊急事態宣言が出ていてもオリンピックは開催できる」と断言。同24日にはトーマス・バッハ会長が、ビデオメッセージで「東京大会を実現するために、われわれは犠牲を払わなければならない」と発言した。
「東京五輪開催」の旗を振る丸川珠代五輪相ですら、IOC幹部の発言に「多くの国民が発言を聞いて反発を覚えたのは自然なこと」と苦言を呈さざるを得なかったほどだ。主催都市や政府の面目をつぶしてまでも、東京五輪開催を「既成事実化」したかったIOCの焦りの表れといえるだろう。
報道では「中止によるスポンサー料やテレビ放送権収入の減少を懸念しての発言」との見方がもっぱら。確かにIOCにとって収益減は痛手ではあるが、そう単純な話ではない。もっと長期的なダメージ、端的に言えば「オリンピック存続の危機」を懸念しているのだ。