経営統合がご破算に

 ソフトバンクグループ<9984>傘下の米通信大手のスプリントとTモバイルUSとの経営統合が再びご破算になった。交渉中止について「心の底から晴れやかな意思決定をした」と強がる孫正義社長だが、15兆円もの有利子負債を抱えた同社の「逆転劇」につながると期待されたM&A案件が消滅しただけに、ソフトバンクの財務状況にも懸念の声が上がっている。

  交渉ではTモバイルUSの最大株主である独通信大手ドイツテレコムが統合後の経営権を自社単独で握ることを主張。米モバイル通信事業を経営の柱としたいソフトバンクには受け入れられない条件だった。孫社長は「せめて対等の関係で経営に当たりたい」と譲歩したが、ドイツテレコムは頑強だった。

ドイツ企業だから仕方ない

 もっとも米モバイル通信市場はベライゾンとAT&Tがシェアの約7割を占める二強体制で、TモバイルUSといえどもスプリントとの合併なしでは遠からず立ち行かなくなるのは明らかだ。それでもドイツテレコムは一切の妥協を拒んでいる。国内経済界からは「ドイツ企業だから仕方ない。今回ばかりは相手が悪かった」との同情の声も聞こえてくる。過去に日本の自動車メーカーもドイツ企業から、さんざん煮え湯を飲まされてきたたからだ。

  スズキ<7269>は2009年に独フォルクスワーゲン(VW)と「対等の関係」で資本提携したが、VW側がスズキへの技術提供を渋ったり、経営支配に向けた動きを見せたりしたことから両社の関係が悪化した。2011年にスズキが提携解消を申し入れたが、VWは拒否。国際仲裁裁判所の裁定を経て、2015年にようやく提携解消にこぎつける。